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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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新エネルギー買取制度


法律が自治体政策を後押し

株式より有利、投資の対象にも
 [2006.06.19]
3千世帯分の電力
 「市内の再生可能エネルギーの3分の1がここで生産されます」。フライブルク市中心部に近いBKF(フライブルク・バイオガス&コンポスト)社の生ごみ発電施設。事業部のクリスチャン・ゴールドシュミット部長が家庭から集められた生ごみの集積場や発電設備を案内してくれた。

 年間発電量は650万キロワット時。年2万8000トン(2005年)の生ごみを処理し、近隣約3000世帯分の電力を賄う。約3週間の生ごみ発酵過程で出るメタンガスを使い、電気と熱を生産し、残さ物は堆肥(たいひ)として近郊の農家や市民に販売する。生ごみを通じて、地域で再生・循環の輪が回ることに感心した。

1999年に稼働したBKF社の生ごみ発電施設。発電能力1400キロワットを持つ
 ドイツの総電力消費に対する再生可能(新)エネルギーの割合は10.2%(05年)。風力、水力、バイオマスの順で多い。10年の目標は12.5%、20年は20%。日本の10年の目標1.4%をはるか上回る。

 推進力が2000年施行の「再生可能エネルギー法」。電力事業者に新エネルギーの買い取りを義務づけ、04年改正では太陽光、バイオマスの価格が引き上げられた。


大きい経済的動機
 「20年間同じ額を受け取れ、株式投資より10倍いい。経済的な動機が大きく、法律なしには太陽光は広まらなかった」。同市エネルギー局のクラウス・ホッペ局長は買取制度の効果を語る。

 同市は1970年代の原発反対運動を経て、いち早く新エネルギー・省エネ政策を推進。新エネルギー割合は3.7%(03年)。市民出資の風車6基が回り、バイオマスでは国内最大級のごみ埋め立て場発電所や木材チップのコージェネレーション(熱電併給)が稼働する。

重要なイメージ
 太陽光の割合は0.3%だが、「研究施設やメーカーが集まり、欧州で『ソーラーシティ』として知られる。市のイメージとして重要」とホッペ氏。サッカー場の屋上を使ったソーラー発電所は有名で、街を歩くと日本ではあまり見ないビルの側面など、あちこちにパネルが見られる。

 電力源を選んで購入できるため、同市周辺では約1万世帯が新エネルギーを選んでいる。

 <新エネルギー買取制度>再生可能エネルギー法で導入。価格を定め、15−20年の長期買い取りを保証した。水力約9−13円に比べ、太陽は設置条件により73−79円と高い。EUの調査では、固定価格の買取制度は日本などの一定枠割当制度より4倍の推進効果があるとする。
  地域の将来像 自ら決定  

温室効果ガス削減、目標ほぼ達成
国全体で17万人の雇用創出
厳しい現実も
 フライブルク市の10年の目標値は10%。だが意外にも同市エネルギー局のクラウス・ホッペ局長は「現実には難しい」と課題を語り出した。「風力はさらに5基計画したが、景観保護や騒音、コウモリを殺すと地域の反対が強い。木材チップのプラントも発電量が伸びず、原料輸送のコストがかさんでいる」。生ごみプラントも、住宅地が近く、排気清浄に発電量の25%相当の電気を使うのが課題という。

 市は現在、新エネルギー計画を見直し中。地域のバイオマス資源の可能性を探る研究も始めた。ホッペ氏は「木材や農産物も含めどれくらい可能性があるのか、計画の中でどう活用できるか考えたい」と語った。

19%削減を達成
 京都議定書により、ドイツは2010年までにCO2(二酸化炭素)など温室効果ガスを1990年比21%削減する義務を負うが、03年で19%削減を達成。日本は、外国からの枠の買い取り準備を始めている。

 新エネルギーを優遇、化石燃料に環境税を課す政策には、原発廃止方針とともに産業界が反発する。一方、新エネ業界は05年に17万人の雇用を生んだ。


 「ドイツのすごい点はバイオマス、太陽光を輸出産業にしたこと」。新エネルギーに詳しい畜大の梅津一孝助教授(畜産科学科)は指摘する。

国が枠組み構築を
 「以前ドイツで視察した農家でバイオガスプラントの売電価格は24円キロワット時。日本は高くて11円、安いと3、4円だ。国が枠組みをつくらなければ」

 国策と同時に、フライブルク市では、エネルギーを含む地域の未来像を自ら決めるという自治体の強い自立意識が印象的だった。豊富な太陽光、バイオマスを持つ十勝も日本の「新エネルギーシティ」になる資格は十分だ。市役所や帯広駅の壁面にソーラーパネルが光る姿を思い浮かべた。
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