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十勝毎日新聞社
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Obihiro Tokachi Hokkaido Japan
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ESCO事業(市立札幌病院)


初期投資なく経費節減

古い施設ほど効果
 [2006.03.21]
効果600万円
 「どこの自治体でも厳しい財政から省エネにお金を出すのは難しい。この手法だと初期投資のコストなしに、省エネと経費節減ができるのが大きなメリット」

市立札幌病院に導入された4基の高効率ボイラー。従来の大型ボイラーと異なり、状況に応じた効率運転でエネルギーが節約できる
 札幌市環境局環境都市推進部省エネルギー推進課の伊東千隆課長は、東北以北の自治体で初めて市立札幌病院に導入される「ESCO(エスコ、エネルギー・サービス・カンパニー)事業」について語る。4月開始の省エネサービスが順調に行けば、毎年4400万円の光熱費が節減され、うち事業者へのサービス料を抜いた600万円が市の利益となる計算だ。

 ESCO事業とは、自治体や企業などの顧客に省エネサービスを提供するビジネス。「ESCO事業者」と呼ばれるサービス提供者が、建物の省エネ改修工事などを行い、実現した経費削減分から顧客はサービス料を事業者に支払う。

 市立病院のESCO事業者は、公募の11グループから選ばれた三菱電機などのグループ。外気利用の冷却水冷房や高効率貫流ボイラーの採用などの大規模な事業から、照明器具の交換まで15項目の省エネ手法を導入し、1次エネルギーの19%削減、二酸化炭素(CO2)排出量で年約2200トン分を削減する計画だ。

 総費用は約2億円だが、同市が採用した契約方式「シェアード・セイビングス契約」では資金は事業者が調達するため、同市の初期投資はゼロ。

 9年間でサービス料を払い終えた後は経費削減分はすべて市の利益となり、省エネ効果が得られない場合は事業者が損失を補てんする。同市にとってはまさに「いいことずくめ」とも言える内容だ。

 同市は新年度、豊平、北、手稲の3区役所5施設を一括し、ESCO第2弾を展開する。伊東課長は「札幌のCO2排出は民生系が中心。1つの建物ならESCOが難しくても、複数なら成立することを、モデルケースとして民間のビルオーナーらに示したい」と波及効果に期待する。

 省エネ・新エネルギーに対応した最新の建築ではなく、エネルギー使用量が多く、設備に改善の余地がある「古い建物」ほど効果が見込めるESCO事業。同時に事業者に利益が出る一定規模以上の事業でないと成立が難しいのも現実だ。

帯広市も検討
 「温水プールとスケートリンクの間で熱のやり取りができれば。設備が古いので帯広の森は有力」

 帯広市の赤枝秀逸環境課長は、市内でのESCO実現を展望する。市は新年度、本庁舎や下水処理施設など9施設で実現性を調べる事前調査に入る。中でもプールや体育館など6施設を一括する帯広の森は有力候補の1つだ。

 市役所は2000年にISO14001を取得。昼休みの消灯や空調管理などソフト面での省エネに取り組むが、「節約の段階はもう終わり」と、次なるハード事業=ESCOへの期待は大きい。

 赤枝課長は言う。「経費節減ももちろんだが、エネルギー使用量を抑えて地球温暖化防止に寄与することが何より大切」。地域の持続可能な発展のため、模範となる自治体の積極的な取り組み、情報発信が求められている。
(小林祐己)

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