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2006年10月3日(火)

移植免疫学 帯畜大の小川助教授


「異種移植」進む研究



ブタの臓器を人間に
深刻化するドナー不足に有効な手段

 愛媛県宇和島市の病院の生体腎臓移植に絡む臓器売買事件は、臓器提供者(ドナー)不足を改めて浮き彫りにした。深刻なドナー不足が指摘される中、ブタの臓器を人間に移植する「異種移植」の研究が進められている。移植免疫学が専門の帯広畜産大学大動物特殊疾病研究センターの小川晴子助教授(47)もその1人で、「技術はあるが、臓器がないため移植できないという医療現場のジレンマを解消できる可能性がある」と述べ、糖尿病治療などへの実現の可能性が高いとしている。(池谷智仁)

ブタの臓器を使った異種移植の可能性などを語る小川助教授
 臓器移植には生体と死体(脳死含む)の2つがあるが、患者が増える一方、ドナー不足は深刻さを増している。解決策として人工臓器(ペースメーカーなど)や再生医療の研究が行われ、異種移植も有効な手法として注目されている。

 ブタは臓器の大きさや解剖学的な観点で比較的人間に近く、子供を多く産み成長が早いことなどから異種移植の研究対象とされている。障害となるのはブタの細胞にある「α−ガラクトース抗原」。人間には抗体があるため、そのまま移植すると数時間内に超急性拒絶反応が発生する。

 異種移植の実現にはブタの抗原、または人間の抗体を機能させないことが必要。問題となるブタの遺伝子を取り除いた「ノックアウトブタ」が2003年に開発され、現在は「α−」以外の抗原について調査されている。

 同時に、「α−」を組み込んだ自己のリンパ球を体内に戻し、異物だと認識させない「免疫寛容」の研究も進んでいる。小川助教授はノックアウトブタの研究に取り組み、帯畜大に着任した2005年から免疫寛容に本格着手。現在は「α−」の知識を応用、臓器移植前に免疫寛容を誘導することで患者とドナーの血液型(ABO式)が不適合でも安全に手術を実施する方法を追究している。

 既にマウスで成功しており、昨年から農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などと共同で、人間の血液型を持たせた遺伝子改変ブタを使った研究段階に入っている。

 小川助教授は倫理面など乗り越える課題はあるとしながら、「糖尿病患者へのブタのインシュリン分泌細胞移植が最も早く実現するのでは。科学の発展で、生きたいという望みをかなえられる可能性が高まる」と話している。
 
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