年間キャンペーン第3部
人材の掛け橋
パイオニアたちの挑戦

芽室「子育てネットワークとかち〜ローズマリー」代表・正村紀美子さん(39)


母親も癒やされ、成長 疑問や悩みが活動の出発点

疑問や悩みが活動の出発点



■戸惑う子育て

 もともと子供は苦手だったんです。子供たちが生まれたときは、もちろんいとおしく思いましたが、「赤ちゃんて、こんなに意思疎通できない存在?」と戸惑うばかり。子育てに正解はありません。私はさまざまな活動や人との出会いを通して「母親という役割は、個人の1つの側面でしかない」ということを学びました。親が個人として成長することは、子供にも大きな影響を与えると思います。

 子育て中の親子が集う「サロン」では、彼女の周りに乳幼児が自然に歩み寄っていく。子供に囲まれ、はじけるような笑顔で昔を振り返る。専業主婦だった1人の女性が会を立ち上げて法人化、母親から母親へとその輪を広げる中核を担った。その背景には、自らが直面した問題があった。

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「子育てサロン」で子供連れの母親と会話を楽しむ正村さん

 「自分は何なんだろう? 自分の生き方はどうあるべきか?」

 12年前、長女を出産してまもなく東京から夫の実家である十勝へ移り住みました。慣れない土地で子育てという初体験も重なり、イライラしてばかり。当時は乳幼児を連れて行ける集まりが少なく、家にこもって家事と育児に追われていました。振り返ってみると、その期間にわいてきた疑問や悩みが、活動の出発点だったのでしょう。

 長女が2歳になると、町の育児クラブに入会。同クラブや保育園の仲間と「母親の心のよりどころをつくろう」と、2001年に「ローズマリー」を旗揚げした。設立当時は8歳の長女をはじめ、長男5歳、二男2歳。母親として多忙な時期だったが、町内外の育児情報をまとめた「めむろ子育てカレンダー」発行、テーマに基づき母親たちがフリートークを行う「M−net」、「生きる」という視点から考察した性教育の勉強会などを企画してきた。

■現場ならでは…

 動機はすべて単純ですよ。「こんな行事があったらいいな、分からないから勉強しよう」ということから思いついたもの。忙しくても、“子育て真っ最中の現場だからこそ”の発想ができたのでしょう。サロンでは、お母さんたちが集まって育児の悩みや疑問を話し合い、スッキリした顔で帰って行く。集まった母親たちによって“母親たちの癒やしの場”に育ててもらいました。

 設立5年目を迎えた今年、同法人から新団体「あさがお」が独立。「サロン」と「子育てカレンダー」部門を引き継いだ。同法人としては今年度、文部科学省の家庭教育支援総合推進事業の一環で「表現」というテーマに基づき、各種事業を展開。親子のコミュニケーションを円滑にすることを目的に、ワークショップなどを実施する。

 私自身も活動を通して成長し、癒やされたからこそ、次のステップに進むことができました。「あさがお」はローズマリーで主体的に活動してきたメンバーで、目が離せない年ごろの子供を抱える母親たちばかりです。私のときと同様、“子育て真っ最中ならではの視点”を生かしていけるはず。自ら企画して活動の幅を広げることで「自分もやればできる」という確認をする、絶好のチャンスにもなるでしょう。民間から子育てグループが育っていくことで、母親たちの成長はもちろん、子育てニーズの視点が広がることも期待しています。

(梅庭寛子)(05.07.08)

<NPO法人・子育てネットワークとかち〜ローズマリー>「母親の育ち合い」や、地域での子育て支援を目的に芽室町を中心に活動。2002年にNPO法人の認証を受けた。今年3月には、昨年1年間かけて開いた勉強会をもとに編集した冊子「子どもに伝えよう性と生」を発刊。

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