年間キャンペーン第2部
通い合う心
検証 コミュニケーション力

少年団「もろ刃の剣」


大切な全体の意識共有
指導者と保護者 結ぶ“糸”重要


「勝敗に固執」大人側に問題

 「指導者の自己満足に犠牲となる子供も少なくない」−。帯広市内のスポーツ少年団指導者は、一部で過度に勝敗に固執する大人側の問題を憂う。そしてその原因を「入団時に指導者と子供、保護者の間で方針や目標について話し合われていない」と、コミュニケーション不足にあると見る。

phot

人間力も競技も強い少年団の育成には、保護者と指導者の意思疎通が不可欠(写真と本文は関係ありません)

 スピードスケートを筆頭に、全国や世界で活躍するスポーツ選手を輩出する十勝。道スポーツ少年団のまとめ(2004年10月)によると、十勝管内の少年団は292団体。石狩管内572団体(札幌市379団体含む)に次ぐ2番目で、数の上からも少年スポーツが盛んな地域と言える。

 そもそもスポーツ少年団とは、青少年の健全育成が命題。スポーツを通じて努力や忍耐力といった社会生活上不可欠な経験が得られ、それを目的にわが子を入団させる保護者が大半だ。

 しかし、サッカーのJリーグのようなプロスポーツの発展に伴い、その下にある学生スポーツで競技性が過熱。さらに少年団でも、勝敗重視の風潮が全国的に強まっている。

ハードな練習子供に弊害も

 「十勝も例外ではない」と、帯広市生涯学習部スポーツ課主任の川原正行さんは指摘する。「ハードな練習の結果、競技者生命を棒に振る故障を抱える子供が出たり、子供のうちから『出来上がった』選手に育成され、成長する可能性が閉ざされるなどの弊害も一部で見受けられる」と言う。

 スポーツはもろ刃の剣−。日本スポーツ少年団(本部大阪)は、体と心が未成熟な子供について、近年の傾向をこう例えて危ぐする。

 もちろん勝利はスポーツのだいご味で、それ自体否定されるものではない。教育的効果を狙う少年団本来の姿を見失わなければ、勝ちを狙うのも「健全な形」。子供の勝利欲を満たせる少年団も必要だ。

 一方で勝敗には固執せず、人格形成に主眼を置いた団も大切。いずれも重要な点は、指導者の理念を保護者と子が共有することで、指導者には技術指導同様、コミュニケーション能力も重要な資質となる。

 保護者側の問題もある。帯広市内のある若手サッカー指導者は「勝敗で評価される」と悩みを打ち明ける。「勝敗より大切なもの」という表現は「勝てないことに対する言い訳ではないはずだ」−。力を込めたこの指導者は、「日ごろ顔を合わせる機会が少ない保護者ほど、この傾向は強い」と分析する。ここでも、保護者と指導者間の「コミュニケーションの欠落」が問題となっている。

子供の成長に長い視点必要

 「勝利」「人格形成」のいずれを取る場合でも、「長い視野に立ち、子供を育て上げる体制の構築が必要」と川原さん。そのためには少年団だけでなく、その競技にかかわる全段階の指導者が、意識を共にすることが重要だ。そして保護者と指導者を結ぶコミュニケーションという見えない“糸”は、子供の人格形成を支え、競技全体のレベルを底上げする原動力に違いない。

(おわり、高田敦史)(05.04.11)

〈スポーツ少年団〉東京五輪を2年後に控えた1962年、財団法人日本体育協会の創設50周年記念として創設。2004年度当初で全国3万5600団体、93万人が加盟、約60種目のスポーツ活動を展開している。近年は少子化で団員数の減少が深刻。十勝では95−04年度の10年間で、団体数が5%減の292団体、団員数は20%減の7291人にまで落ち込んだ。

|6|index


HOME