年間キャンペーン第2部
通い合う心
検証 コミュニケーション力

TMO「リーダー不在」


連携と人材育成が重要
事業推進に中心的人物不可欠


見えづらい事業の成果

 「中心市街地活性化のイメージは個々によって違うので最終的な成功イメージも異なる。帯広の場合は民間による事業の取り組みが他地域に比べて早いが、その分全体の事業成果が見えづらい面がある。今後は個々の動きをどうつなげるかが課題だ。やはりそこには強力なリーダーシップが必要になる」

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大樹ではショッピングセンター「コスモール」を核に、全町民参加型のTMO事業を展開する

 道経済産業局で中心市街地活性化施策を進める商業振興室長補佐の辻純朗さんは、帯広で5年前から取り組んでいるTMO(タウンマネジメント機関)事業を例に、リーダーの重要性を強調する。

 中小企業庁が全国のTMOを対象に行った実態調査では、事業を進めてもなお中心市街地が活性化しない理由として「商店街、商店業者との連携がとれない」(45%)、「事業を推進するリーダー的人材がいない」(40%)が高い比率を示した。TMO活動、ひいてはまちの活性化のためには“コミュニケーション力”とリーダー的人材が不可欠な要素となる実態を浮き彫りにした。

 帯広のTMOが2002年10月、商業者育成を目的にスタートさせたチャレンジショップ「GATE」。広小路の空き店舗内に商業意欲のある若者を集め、商品の仕入れから経営のノウハウまで学ばせる。最終的に独立への道を開くことを目指し、04年3月まで続いた。出店者は延べ14店。このうち6店が独立、別の場所で開業を果たしている。

経営指導は年1回程度

 出店者は同事業をどう見ていたか−。ある出店者は「若手の商店主が育てばイコールまちが発展するという図式が、出店者のやる気を100%引き出したとかいうと必ずしもそうではない。運営面での柔軟さに欠け、経営指導も年1回程度と面倒を見るのが中途半端だった」と振り返る。

 別の出店者も「開始1年で活気がなくなり、売り上げが低迷。出店者同士が活性策を提案したが、結局予算がつかなかった」と述懐。同ショップは当初3年計画だったが、出店者減少や予算の削減がもとで途中閉鎖した。「独立した出店者もいたが、成果をどうみるかは難しい」とTMOを推進する帯広商工会議所産業振興部長の久保田雅樹さん。人材育成の難しさを示す一例として反省点が残った。

住民巻き込み独自性放つ

 一方、TMOの推進に連携や人材育成が重要だとすれば、大樹町で展開されるTMO事業は、住民間のコミュニケーションが際立っている。特に「住民を巻き込んだワークショップからは、ほかのTMOとは違った独自性を感じ取れる」(辻室長補佐)という。

 大樹のTMOがスタートしたのは2000年。過疎化対策、商業のじり貪を防ぐ起爆剤と位置づけられた。住民がプランを立案、ボランティアスタッフが支える形式でこれまでショッピングセンター建設やソフト事業を展開してきた。

 「町内で多様な人材を求めても数がいない。全町民参加で知恵を出し合って進めていくことが身の丈に合っている」と大樹町商工会TMO活動事務局の林英也町商工観光グループ主査は語る。

 特定の人材を1つの「点」とするならば、大樹スタイルは当初からすそ野の広い「面」としてTMOを推進。空き店舗のテナントミックス、イベント推進の2本柱は次々にアイデアを生み、現在、道の駅での“駅弁”づくりなどのユニークな試みにも挑戦している。

 中心市街地活性化法の施行から7年が経過した。「目先の取り組みに固執せず、TMOを自立させるためにはまず人の手当てと資金繰りを」(辻室長補佐)との教訓は今なお生き続けている。

(道下恵次)(05.04.09)

〈TMO(タウンマネジメント機関)〉まちづくりを運営、管理する機関。国の中心市街地活性化法に基づき、空洞化する中心商業地を再生する取り組み。商工会議所、商店街振興組合、商工会または第三セクターが市町村の認定を受けてTMOとなり、建設・事業主体としてまちづくりを推進する。十勝管内は帯広と大樹で認定。帯広では北の屋台、高齢者下宿などの事業を展開、大樹ではショッピングセンター「コスモール」をオープンしている。

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