年間キャンペーン第5部

光は観えるか
立国への課題と方策

2.推進体制は万全か


相乗効果生み出す連携

戦略の実行 十観連に重い役割


町と町の間はボーダーレス

 士幌町内の道の駅・ピア21しほろ(国道241号沿い)に、「士幌町・上士幌町観光パンフレット」と掲げられたコーナーがある。両町の観光施設案内などが並び、車で上士幌方面に向かう人たちが何げなく手に取って持ち帰る。今年3月、両観光協会が相互協力の協定を締結したことによる連携事業の一環だ。

 東大雪4町(新得、鹿追、士幌、上士幌)でも今年、4観光協会が費用を負担してJR新得駅にパンフレットラックを設置した。「観光客にとって町と町はボーダーレス」「相乗効果を生み出す連携が必要」と各観光協会関係者。観光振興に向けたブロック化は、既存の組織体制に手詰まりを感じる地域の新たな流れになっている。

観光入り込み道内で最低

士幌、上士幌両町の観光パンフレットが並ぶ道の駅・ピア21しほろ。観光ブロック化は地域の新たな流れとなりつつある



 道がまとめた2003年度の観光入り込み客数調査によると、十勝圏の入り込みは年間延べ809万人で、道内圏域別では釧路・根室圏の974万人を下回り最下位。道外客の構成比も24・3%と極端に低い。

 十勝観光連盟(十観連、大須賀良明会長)の吉田勝専務は「個々の地域に魅力があってもそれだけで人は呼べない。十勝は面でアピールしないと弱い」と指摘。「市町村や諸官庁が個々に観光予算を持っているなら、効率的に使った方がいい」と十勝観光を束ねる必要性を強調する。

自治体頼みの観光協会財政


 十観連には十勝圏の市町村観光協会など20団体が会員として加盟し、加盟団体からの会費・負担金が運営収入の柱。しかし、個々の観光協会も運営経費を自治体からの補助金収入に頼り、その補助金も市町村の財政難から今後の削減を迫られている。

 町民向けの祭りの主催などが主で、誘致にはそれほど力を入れていない協会もあり、そうしたスタンスの違いが「当町は観光客が少ないのに負担金が重い」「全市町村を満遍なくPRしては効果が薄い」など十観連に対する不満につながっている。各自治体の観光に対する温度差は、十勝観光をなかなか束ねられない理由の1つだ。

体験や癒やしどう具体化

 上士幌町観光協会の事務局を務める同町役場産業課の関克身主査は「十観連に求められるのは十勝のイメージ付けと、ターゲット設定を具体的に進めることでないか。例えば帯広市がリーダーシップを取って進めてくれれば」と指摘する。

 過去に観光戦略は立てられたものの、誰が音頭を取るのか明確でないまま忘れ去られたものもある。昨年秋には、十観連が立ち上げた十勝観光戦略会議が「滞在型交流産業」の推進を掲げた答申をまとめた。体験や癒やしをキーワードにスローな十勝観光を目指す内容だが、これも具体化させなければ意味がない。

 「帯広市をはじめ町村からもさらに声を出していただきながら、我々自身も出向いて意見を吸い上げていく姿勢が求められる」と吉田専務。近隣自治体の観光ブロック化も進む中、十勝観光戦略の策定・推進機関としてどう存在感を発揮していくか。十観連に課せられた役割は重い。(古川雄介)(04.12.14)
 

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