年間キャンペーン第5部

光は観えるか
立国への課題と方策

1.なぜ高い航空運賃


エア・ドゥ参入が解消のカギ

1キロ38円で割高、ツアー帯広敬遠


念頭にない帯広での発着

 「先日、都内の旅行会社に営業で行ったが、とかち帯広空港を利用するツアー商品はほとんどなかった。航空運賃がほかより高いため、担当者はもはや帯広発着を念頭に置いていない。釧路や旭川などの空港利用が中心になった」。十勝川温泉観月苑の作田英実常務はこう語る。

 今年10月に北海道遺産に指定されたモール温泉。おひざ元の音更町十勝川温泉では、これを前面に出したPR効果で観光客の増を期待する。

とかち帯広空港では乗り入れ会社がJAL1社に減り、カウンターも“空席”。観光振興には2社乗り入れが重要



 だが、実態は入り込み数の減少に歯止めが掛からない。同温泉旅館組合によると、10月は4万9000人で5カ月連続前年割れ。作田常務は「本州からの観光客の落ち込みが大きい。帯広発着で、ゆっくりと十勝に滞在して旅を楽しんでほしいのだが…」と危機感をのぞかせる。

 背景にはとかち帯広空港の利用低迷がある。2002年10月、日本航空(JAL)と日本エアシステム(JAS)の経営統合でJAL1社の乗り入れに。以来、旅客数は伸び悩み、11月の東京線も3万7000人と対前年比7%の減少。搭乗率は採算ラインぎりぎりの53%と低調だ。

 利用低迷の要因として指摘されているのが航空運賃。JAL東京線で旭川空港と比較した場合、定価とも言える普通運賃(片道)は帯広3万2500円で、旭川の3万3500円と大差はない。しかし、飛行距離1キロ当たりの運賃では帯広38円に対し、旭川36円、釧路37円となって逆転する。

 さらに、関係者が注目するのが03年7月旭川空港に就航した北海道国際航空・エア・ドゥの東京線。普通運賃は2万8000円でJALより5000円程度安い。エア・ドゥ道民割引価格(2万3000円)を使えば約1万円もの差となる。

価格競争呼ぶANAの参戦


 帯広市空港事務所の川西正純所長は「旭川ではJALがエア・ドゥに対抗し格安ツアーを販売するなど価格競争は激しい。エア・ドゥと提携する全日本空輸(ANA)も競争に参戦、東京方面の観光客が旭川に流れてしまっている」と説明。スローの潮流が強まる中、「空港到着後、レンタカーで旅を楽しむ個人型旅行も全国的に増えつつあるだけに痛い」と加える。

 JALサービスの下山一知帯広支店長は「旅行商品で帯広は道内他空港と比較した場合、高くもなければ安くもないと思う」と理解を求める。しかし、旭川空港は富良野と層雲峡を周遊する道央観光の拠点として、現実に乗降客数は03年に1・2%増と順調に伸びている。

条件整備へ誘致本格化

 こうした中、とかち帯広空港利用促進協議会(砂川敏文会長)はエア・ドゥ誘致に重点的に取り組み、近く同社への要望活動を行う。帯広商工会議所の河合正満専務理事は「観光地自体の魅力アップも重要だが、観光振興に本州とアクセスする空路など条件整備は不可欠」と、エア・ドゥ乗り入れによるダブルトラッキングの実現を訴える。

 「(提携する)ANA系旅行会社による集客も魅力。個人客ではJALと競合するだけだが、ANA系列の観光客は全く新しいお客さん。他空港に回っていた観光客が帯広に来る」と川西所長。十勝への観光客の流れを取り戻せるか、運賃問題も含めて複数乗り入れがカギを握る。(児玉匡史)(04.12.13)

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 自然、景観、味覚など豊かな“地域資源”を有し、スローツーリズムの適地として大きな可能性を秘めた十勝。その未来を切り開く上で求められるものは何か。今年の年間キャンペーン最終章となる第5部では、十勝の観光振興に向けた課題を再検証する。

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