年間キャンペーン第4部

カリスマの視点
道内キーマンに聞く

加森観光社長(札幌市) 加森 公人氏


ほれ直したい地域の良さ
地元ファン大事にして




まち全体が観光地の時代

 ヨーロッパの視察から帰ったばかりだが、十勝の景観は家並みを除けばドイツ、スウェーデンと非常に似ている。むしろ十勝が勝るのではないか。国際的な保養観光地ドイツのバーデン・バーデン市を訪れたが、これからは一部の名所や施設を楽しむのではなく、まち全体が観光地となる時代だ。

 日本の観光も「名所巡り」から「体験型」へと移行し、現在のキーワードは「健康と癒やし」。その条件を兼ね備えているのが、自然の資源に恵まれた北海道だ。しかも、四季がこれだけはっきりしているということは、1年に4回楽しめるということ。九州では1回転しかしないが、北海道は4回転。つまりマーケットは4倍に増える。

 総務省の「地域再生マネージャー」事業で、加森観光は今年、上士幌町と調印を結んだ。「官」と「民」、そして北海道大学医学部、札幌国際大学の「学」が協働し、健康づくりを核とした地域産業の創造に取り組んでいる。


「自分の地域をほれ直すことが大切」と加森氏

スギ花粉避け上士幌に疎開

 調査をして驚いたのは、上士幌町には都会で多くの人が悩んでいるスギ花粉がないこと。そして大雪山国立公園や糠平温泉、ナイタイ高原をはじめとする自然の宝庫であること。この恵まれた地域の資源を保存・活用し、スギ花粉の飛来する2−4カ月の間、都会の人々が“疎開”する構想だ。

 都会の人自身が携わる農産物の有機栽培、地元素材のメニューの提供、森林・温泉セラピーなど既に幾つもの具体的な計画が上がっている。時間をかけてゆっくりと滞在し、保養してもらう新しいタイプの観光地を目指す。「産官学」、そして地域の人々と協力しながら、十勝での取り組みが全国の観光モデルになることは間違いない。

 これから大切なことは、地域の人々が自分の地域をほれ直すことだ。十勝の人々にとっては当たり前に思うような景観や自然環境、欠点となるようなことでも、“宝”になることがある。全国だけでなく、アメリカやオーストラリアでもリゾート再生を手掛けてきたが、それぞれの地域にそれぞれの良さが必ずある。

 北海道では、観光振興というとすぐに本州客や海外客を誘致しようとするが、今でも観光客の8割は道内からだ。身近にいる人を大事にして、どれだけ地元にファンを増やし、来てもらえるかを考えた方がいい。

世界中の魅力北海道に集中


 世界各国の自然を撮り続けてきた札幌在住の写真家清水武男さんが言っていたのだが、北海道には世界中にある海や山などの自然や、ダイナミックな現象が集まっているという。だから清水さんは北海道に住みついて、ここで写真を撮り続けている。私は、北海道には既にインフラやハードも十分に整備されていると感じている。あとは自分たちの住む地域の魅力にいかに気付き、発信していくかだ。(聞き手・酒井花、おわり)(04.10.25)

かもり・きみひと 1943年、札幌市生まれ。学習院大学卒業後、帯広市出身の父・勝雄氏が創業した登別温泉ケーブル会社に就職。利用客の増加を目指し「のぼりべつクマ牧場」を開業。初期コストを抑え、雇用の継続と、地域の実情を生かした経営ノウハウで道内や全国各地の大型リゾートを再生する。十勝ではサホロリゾートを経営。61歳。

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