年間キャンペーン第4部

カリスマの視点
道内キーマンに聞く

木の城たいせつ創業オーナー(栗山町) 山口 昭氏


家族3代の計で豊かな生活
地域を愛し文化育てて




「地産地消」に「地加」加えて

 21世紀の観光は「地産地消」から「地産・地加・地消」の循環型モデルへ。「地加」は私の造語だ。北海道はこれまで「地産」は十分やってきた。しかし、農林、水産、酪農という豊かな資源の「付加価値」を、地域で高め、消費することができなかった。

 「木の城たいせつ」は空知管内栗山町に約6万5000坪(21万4500平方メートル)の敷地を持ち、北海道の自然の木だけを使った住宅を道内だけに供給している。木を無駄なく使用、再利用することで北海道の山林を育て、環境を守ることにつなげている。

 道産材の付加価値を高めた実践が認められ、今ではこの過疎地に、道内はもとより海外からも宿泊体験者が訪れ、毎週日曜には地の農産物を扱う市場も開いている。

「地域の資源に地域で付加価値を」と語る山口氏


 これからの観光で大切なことは、地域の人々が楽しく仕事をして、経済が地域で循環することだ。地域に住む人々がその地域を愛し、生き生きと生活することが、「楽しそう」「住んでみたい」と多くの人を引き寄せる。なぜヨーロッパにあれだけの観光客が訪れるのか。利便性や効率を追求した「文明」ではなく、地域に根付いた「文化」があるからだ。

地域に対する信仰や文化

 私は、観光には地域に対する「信仰」の側面が強いと思う。北海道に魅力ある資源はあるが、歴史が浅いこともあり、「信仰」や「文化」が育っていない。

 戦後60年、日本は中央依存型の大量生産、大量販売、大量消費の経済を生み出し、核家族化や少子化、ひいては家族と地域社会の崩壊を招いた。北海道の21世紀は地球資源を大切にする生活へ、家族3代100年の計を持った豊かな生活へと変わらなくてはいけない。

 これからの地域が目指すのは、札幌のようなミニ東京、支店経済ではいけない。風土に合った教育、行政、住空間が求められる。特に教育は進学重視ではなく、その土地を愛することができる人を育てる教育に変えるべきだ。

 北海道の可能性は、冬という未開発分野があること。誰もやっていないことを冬にやれば、必ず成長する。実際にわれわれは、冬は施工しないという建設業の常識を打ち破り、通年施工を可能にし、業績を大きく伸ばした。観光では、半年ある冬を「初冬、寒中、残冬」の3つに分け、春夏秋を加えてさまざまな季節の表情を楽しむ「北海道六節観光」を提唱したい。

豊かな十勝で循環モデルを


 十勝は道内で一番可能性がある地域。それだけ豊かな資源を持っている。観光に適した自然や温泉も豊富にある。これからは「中央と同じことをやっていれば何とかなる」時代ではない。地域に根付いた理念や哲学を持ち、十勝を愛する人々を増やす。豊かな十勝で「地産・地加・地消」の循環モデルを実践すれば、北海道の観光モデルとなるだろう。(聞き手・酒井花)(04.10.23)

やまぐち・あきら 1931年、石狩管内浜益村生まれ。18歳で宮大工棟りょうに弟子入り。60年、匠建設を設立(98年木の城たいせつに社名変更)。日本で初めて無落雪建設を専業化、直営で冬も行う通年施工、通年雇用を実現した。96年、地球環境を守るシンクタンク「冬総研」創設。環境庁長官賞(98年)、第1回日本環境経営大賞(2003年)。73歳。

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