年間キャンペーン第4部

カリスマの視点
道内キーマンに聞く

阿寒グランドホテル社長(阿寒町) 大西 雅之氏


連携や情報発信が不足
地域一体で魅力アップ




互いの協力でアピール必要

 地域で1、2軒のホテルが頑張ったところで客は呼べない。阿寒湖温泉だけで何泊もしてもらえるわけでもない。後発の観光地である道東エリアは、互いに協力しながら魅力をアピールする必要がある。本州なら隣町はライバルだが、われわれは互いに協力しながら切磋琢磨(せっさたくま)することで魅力をアップできる。

 旅行のスタイルは、自分流に旅を組み立てる個人旅行に急激にシフトしている。海外からの観光客も同様だ。いかに道東の魅力を伝え、ここで過ごす時間を楽しんでもらうかを考えなければならない。個人客の冬季の利便性を向上させるため、阿寒湖や知床、層雲峡などと空港を結ぶ「エクスプレスバス」(ひがし北海道観光事業開発協議会主催)を実現させたのもその一環だ。

「道東エリアは地域間連携が必要」と語る大西氏


NPO化して受け皿を準備

 もちろん、地域内の連携の取り組みが原点になる。阿寒湖温泉では地域住民が中心になって「阿寒湖温泉再生プラン2010」をまとめた。プランに基づき、環境省事業で湖畔の公園化事業が今年度からスタートした。阿寒観光協会と阿寒湖温泉まちづくり協議会は今年4月に合併し、年度内にNPO化して観光プランニングや施設管理の受け皿となるべく準備を進めている。

 道東の場合は道外や札幌圏とのパイプもカギになる。航空運賃が高止まりしているため、地方空港の利用が落ち、新千歳空港への集約が進んでいる。地方空港への新規参入を促進するなど、高い航空運賃を下げることが道東観光を左右する。高速道路網の充実も重要で、夕張−十勝清水間の開通は大きな課題の1つだ。

 当社は12月に阿寒湖畔で3館目のホテルとなる和風ホテル「鄙(ひな)の座」の開業を予定している。旧阿寒観光ホテルを取得したものだが、部屋数は半分以下に減らし広さを確保した。好調な沖縄に比べ、北海道観光の不振が続いているのは、安さが前面に出て質的な魅力がなくなっているのが原因。上質な器とサービスの提供も生き残りには欠かせない。

巡る楽しみ十勝の魅力


 十勝はいろいろな地域で町おこしがあり、お菓子や花、牧場の景観などもある。面の魅力があり“巡る楽しみ”がある。地域が一体になって魅力を積み重ねることが肝心だが、例えば多くのネイチャーセンターがあってもオール十勝の連携や情報発信が不足している。

 十勝にはすてきなレストランが多いのに情報は少ない。旅行会社は十勝にどんなレストランがあるのか把握できない。北海道観光バージョンアップ協議会(事務局・札幌)が道東編を作製中の北海道版ミシュラン(フランスの格付けグルメガイド)のような取り組みが今後、注目される。

 基幹の農業が強いうちは観光にまで目が届きづらいだろうが、十勝は観光面でも豊かな土地である意識を持ってほしい。農業生産に力がある十勝だからこそ、手間がかかって他の地域では実現できないような「地産地消」の取り組みなどを進めてほしい。(聞き手・古川雄介)(04.10.21)

おおにし まさゆき 1955年、釧路市生まれ。東京大学経済学部卒。89年に阿寒グランドホテル社長に就任。道観光連盟副会長。あかん遊久の里鶴雅、サロマ湖鶴雅リゾートなどを経営。顧客本位の経営を実践する一方、阿寒湖温泉の再生プラン策定、道東観光地の連携など地域の戦略的な取り組みを主導した。昨年3月、「観光カリスマ」に。49歳。

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