年間キャンペーン第4部

カリスマの視点
道内キーマンに聞く

ニセコアドベンチャーセンター代表(倶知安町) ロス・フィンドレー氏


住人にとって楽しいまちに
「やること」創造が必要




1カ所に滞在し休暇を堪能

 私が子供のころ、家族は毎年クリスマスに1週間の休暇を取った。あちこち足を運ばず、オーストラリアのビーチ1カ所に滞在した。キャンプ場を拠点に父は毎日朝から釣りへ。私はサーフィンを楽しみ、みんなでハイキングもした。

 だが、こういう休暇を過ごせる場所はまだ日本では少ない。長期間、のんびりゆったりと、さまざまなことを楽しむ休暇の過ごし方自体、普及し始めたばかりだ。

「住む人にとって楽しいまちであれば、観光客もきっと来る」と話すフィンドレー氏


 ゆったりと時間を過ごしたいとき、たぶん、日本人は海外へ行く。ハワイに行く人すべてが4泊以上するだろう。あちこちに動かず、同じ所でゆっくりしている。

 リゾートに着けば、まずホテルの周辺を歩いてみるだろう。歩きたいと思う所がどこにもなければ、もうどうしようもない。まちづくりが最初から悪いともいえる。そこに住む人が楽しいまちなら、観光に来る人もきっと楽しいはずだ。

 リゾートとは、ビレッジ(村)があり、買い物ができ、カフェやレストランへ行くなど「やること」があり、ゆっくり気軽に1週間いられるような所だ。東京には1週間でもいやすい。したいことがたくさんあり、何回訪ねても面白いカフェがある。リゾートもそういう所だろう。

夏の川や自然前面に出すべき


 ニセコリゾートには夏場、その「やること」がなかった。観光の目玉はスキーなど冬のスポーツで、夏場はテニスやゴルフはできるが、客は少なかった。なぜ、夏の川や自然を観光の前面に出さないのか。資源が生かされずもったいないと思った。私は「やること」をつくれると考えて会社を立ち上げ、ボートでの川下りなど体験メニューを充実させた。

 十勝へは、カヤックを楽しんだり知人に会うために過去3度ほど訪れた。山が多く、川がきれいな所だ。良い林道がたくさんあり、世界レベルのラリー(WRC=世界ラリー選手権)も開催できた。

 ただ、宿泊先のホテルがいま一つだった記憶がある。真っ白な古いコンクリート造りで、周囲の風景に合っていない。川の近くにあるのだから、自然を生かした造りにすべきだと感じた。


過ごしたいこと考えて

 観光振興を目指すのなら、十勝に来る人がそこでどう過ごしたいのかをみんなで考えるべきだ。十勝ならではの広さをどう生かすか。農園を歩き、自転車で巡るルートの検討や、泊まる場所が快適かどうかを考えることも大事だ。

 観光客も住む人も楽しいまちをつくるのか。それとも農家だけを考え、支えるまちづくりに徹するのか。楽しければ、若い人も呼び込める。楽しくなければ、千歳に降り立った観光客も山(日高山脈)を越えては来ないだろう。

 自分のまちにどんな財産があるかを、見直すことから始めればいい。(聞き手・深田隆弘)(04.10.20)

ロス・フィンドレー 1964年、オーストラリア生まれ。キャンベラ大学(スポーツ科学専攻)を卒業後、米国やスイスでスキー指導員などを務めた。89年に来日し、札幌でスキーを指導。92年、後志管内倶知安町に移り、95年にニセコアドベンチャーセンター(NAC)を設立。今年1月、国から「通年型アウトドア体験観光のカリスマ」に認定された。40歳。

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