年間キャンペーン第4部

カリスマの視点
道内キーマンに聞く

フラワーランドかみふらの社長(上富良野町) 伊藤 孝司氏


素晴らしい「オンリーワン」
農業資源の活用がカギ




観光は農業の延長線上

 大規模農業と観光との連動は、十勝の観光振興にとって、大きな可能性を秘めている分野といえる。大げさにいえば、私は北海道の観光は農業の延長線上にあると考えている。

 道が来道する観光客から集めたアンケート結果では、北海道旅行の目的は景観、温泉、保養、ドライブの4点だった。雄大な景色の源は広大な畑作地帯であり、真っすぐに延びた道路は効率的に農産物を運搬する産業用道路としての役割が大きい。

 もちろん食材としておいしい農産物もある。豊かな基幹産業が、北海道観光の礎を築いているというのが持論だ。

「農業を軸としたオンリーワンの提案型観光を」と訴える伊藤氏


生産者主導で市場開拓

 私が花を中心とした観光農場「フラワーランドかみふらの」をスタートさせたのは、自由化の波が押し寄せる市場流通の中、「生産者主導の農業に取り組まなければ農業は豊かにならない。自らの市場を開拓しよう」と考えたのがきっかけだった。

 「ふらの」のラベンダーは当時から全国的に有名だった。広大な丘陸地帯に広がる畑に、紫のコントラストはよく映える。美しいものへのあこがれだ。私はそのマーケットの流れの中で、観光と生産の農業を目指した。

年間30万人以上が来場

 大規模な赤字を抱えた時期もあったが、現在は花畑の観賞や農業体験、農産物加工品の販売、生産直売などの事業で年間30万人以上の観光客が訪れるようになった。新しい時代には新しい需要を掘り起こすことも重要だ。PR活動も積極的に行っている。

 海外から日本への年間の観光客数は約524万人。アジアで8位、世界では33位と後塵(こうじん)を拝している。

 フラワーランドに訪れる人の9割は道外からの観光客。東南アジアにも直接足を運んで宣伝し、全体の約1割に当たる年間3万人が海外からのツアー客となっている。

 観光とは「観(み)るものに光を当てる」という意味ではないだろうか。人為的に観光資源を造形する必要はなく、今ある「農業」という資源を最大限に活用することが重要なカギとなるだろう。

独自の可能性アピールを

 気候や風土、土質などにより道内14支庁ではそれぞれの農業があり、独自の可能性がある。十勝も「オンリーワン」の素晴らしさをアピールする提案型観光を推し進めてほしい。

 幕別町のパークゴルフがあっという間に全道に飛び火したように、ニーズに合致すれば観光につながる。最初は人まねでも、十勝独自の観光産業の萌芽(ほうが)は生まれるはず。関係機関が手を結び、農業と連動した観光体系を確立すること、地域が協調して積極的なアプローチに取り組むことが、観光振興につながると考える。(聞き手・松村智裕)(04.10.19)

いとう・たかし 1940年、上川管内上富良野町生まれ。上富良野中学校卒業後、55年に後継者として就農。91年、同町に「フラワーランドかみふらの」を設立した。15ヘクタールの敷地にはラベンダーなど約300種の花が四季ごとに咲き、トウモロコシのもぎ取りなど農業体験も楽しめる。社団法人かみふらの十勝岳観光協会会長として、PR活動にも奔走。64歳。

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