年間キャンペーン第3部

十勝に吹く風
質と豊かさの実践

帯広(FC)


映像発信でPR効果期待
ホスピタリティー重要


■絵になる農村風景

 「十勝は農村風景がとても絵になる。他地域とは違い、自然の雄大さを感じる」。今月25日午後の帯広市八千代公共育成牧場。農業体験のテレビ番組を制作するため、東京からロケ撮影に訪れた農林放送事業団(農業関係番組制作の公益法人)のディレクター(30)は語った。


帯広市八千代公共育成牧場・カウベルハウスでの羊毛つむぎの撮影風景。ロケの経済効果や映像の発信力に、地域の注目が集まる

 のどかな牧場風景、羊毛つむぎの様子などの映像を次々とビデオカメラに収める。「撮影時間が足りなくなるぐらい魅力的」。猛暑の中、カメラマンと2人して額に汗し、笑顔を浮かべた。

 十勝を舞台にした映画やテレビドラマなどのロケ撮影。「とかちフィルムコミッション(FC)連絡協議会」が誘致、支援しており、この日の撮影もFCが協力した。エスタ帯広内にある帯広観光コンベンション協会が事務局。撮影依頼に即応する窓口として、管内各地と連絡を取り、撮影地やスタッフの宿泊場所などを紹介している。

 撮影協力件数も徐々に増え、2003年度は設立後の今年1―3月で15件、04年度に入ってからも9件に協力した。最近では、北海道の開拓をテーマに女優の吉永小百合さんが出演する「北の零年」(浦幌町で撮影)も支援。「誘致活動はまだ動きだしたばかりだが、少しずつ観光振興に結びつけたい」と、同FCの関口好文代表幹事(55)は強調する。

 ロケ撮影の効果の1つは撮影班の滞在による出費。ロケによっては、エキストラを含め100人規模の撮影班もあり、宿泊や食事などによる経済的な効果がある。

 そして、同FCが最も注目するのは、不特定多数が目にする映像で十勝を全国に発信するPR効果。4月に「どっちの料理ショー」で全国放送された帯広の豚丼人気はその典型例の1つだ。

 市商工観光部の山本雅雄次長も「テレビでの紹介などを機に、本州方面からのお客さんが市内の豚丼店にずらりと並んだ光景はとても印象的だった。映像による影響力の大きさを改めて知った」と話す。


■滞在型には至らず

 ただ、市内の観光関係者からは「東京の撮影関係者が抱く十勝へのイメージは、やはり豊かな自然環境そのもの。食文化や景観を楽しみ、ゆっくりと過ごす観光づくりにはまだ至っていない」との指摘も。そしてテレビドラマ「北の国から」のロケ撮影を機に、ロケ地ツアーで全国各地から観光客を呼び込む富良野市のイメージがよぎる。

 関口代表幹事は「実際に日高山脈を背景に撮影したいという関係者の要望は少なくない。富良野では撮影セットが観光資源化されており、十勝でも許される限りセットを残せるよう活動を考えていきたい」と語る。撮影情報を入手する上では、北海道ロケーションサービス(札幌)には登録しているものの、全国FC連絡協議会(東京)には資金的な事情もあって参加していないという課題もある。

 関口代表幹事はこう訴える。「重要なことはホスピタリティー。ロケ班が撮影しやすい環境をつくり、十勝を撮影地に選んでもらえるよう満足度を高めたい」。各地のFCが誘致競争を繰り広げる中、十勝の活動もまた静かに歩みだした。 (児玉匡史)(04.07.31)

<とかちフィルムコミッション連絡協議会>十勝支庁、市町村、ホテル、交通関連企業など管内50団体が今年1月に組織した。道内FCとしては9例目。大樹町などを舞台にした依田勉三が題材の映画「新しい風」の撮影にも協力。オール十勝でロケ撮影の誘致に取り組んでいる。

3-13-23-33-4|3-5|3-63-7index


HOME