年間キャンペーン第3部

十勝に吹く風
質と豊かさの実践

幕  別


“磁力”備えた発祥の地
自然体で交流実践


■魅力的な素材

 「当協会では今、プロ野球のキャンプや大学の合宿など“誘致と観光の融合”に取り組んでいるところ。それを進める上で、パークゴルフ(PG)は非常に魅力的な素材なんです」

 発祥の地・幕別町。PG愛好者の間では「聖地の中の聖地」とされる猿別川河川敷のつつじコースで、高知県観光コンベンション協会の豊島知章専務理事(57)が力を込める。県職員ら10人で編成した視察団のリーダー格。県内にも3カ所のPG場があり、「北海道の愛好者に冬のプレー場所を提供(つまり誘致)したい」のだという。


つつじコースに立つ高知県観光コンベンション協会の一行。地域振興のヒントを求め、発祥の地・幕別を訪れる視察団は後を絶たない(20日)

 1983年の誕生以来、誰もが気軽に楽しめるスポーツとして急速に拡大を遂げたPG人気。今や愛好者は全国で推定約70万人とされ、コースの数も道内を中心に900を超えた。

 町内宝町に本部を置くNPO国際パークゴルフ協会(前原懿理事長)の荒川潔事務局長(63)は「道内では最近、車で各PG場を回り、観光がてら楽しむ夫婦が随分増えた」と話す。人の移動が経済効果を生み、まちおこしの観点からコース造成に乗り出す自治体も。旅行業界も注目し、北に南にとさまざまなツアーが出回るようになった。

 地元幕別でも、PGの持つ観光資源としての有効性は十分に認識している。町観光物産協会によると、2003年度の町内観光客数約35万人のうち「3割(約13万人)はPG関連の入り込み」(事務局の町商工観光課)。“発祥の地”が大きな冠となり、それだけで熱心な愛好者を引きつける“磁力”も備えた。

■原点見失わず

 町にとってPGは官民一体となったまちづくりの要であり、観光との連動にはむしろ“自然体”を貫く。外部からの行政視察の対応窓口である町企画室の羽磨知成参事は「観光ばかりを優先すれば住民はついて来ない。コミュニティースポーツというPGの“原点”を見失わず、均衡ある発展を考えることが大事」と強調する。

 経済的効果は「結果として後からついて来るもの」との考え方。PG場有料化の流れが強まる中で無料を堅持しているのも、そんな原点重視の表れの1つだ。草創期から掲げる「人と自然に優しい三世代交流スポーツ」との理念は、今も大切に受け継がれている。

 国際パークゴルフ協会では今年、全国各加盟協会での初心者教室の展開など、課題となっている若い世代の獲得に本腰を入れる。海外での普及活動にも積極的で、8月にはブラジルでの交流大会を支援、この際、現地のPG協会との加盟調印も取り交わす計画だ。

■聖地の存在感

 輪が広がれば広がるほど、高まる「聖地」の存在感。地元幕別協会の堀内進事務局長(67)は「いつかこの幕別に海外からのツアー客が訪れる時代も」と期待を込めた。

 公園の有効利用から始まった1つの町のスポーツが、十勝をその“メッカ”に押し上げ、世界の中心にも据えようとしている。観光新時代のキーワードとも言える「交流人口」の獲得。発祥の地・幕別の取り組みは、それを自然な形で実践しているように見える。(金谷信)(04.07.29)

<国際パークゴルフ協会>1987年設立。2000年にNPOとなり、PGの普及発展に努める。略称IPGA。現在、韓国協会を含めて514団体が加盟。全国のPG910コース(全道730、うち十勝123)のうち、公認コースは193(全道150、うち十勝18)。

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