年間キャンペーン第3部

十勝に吹く風
質と豊かさの実践

足寄・螺湾


固有の財産が客を呼ぶ
加工品も続々誕生

 日本一大きい「ラワンブキ」が北海道遺産に登録されたのは2001年10月。地域の珍しい産物でしかなかったラワンブキは、栽培法や加工品の研究、マスコミを活用したPRなどにより、今や「足寄町固有の財産」(町企画観光課)にまで押し上がった。

■「一度見たかった」

 「一度見たいと思っていたんだ。これはすごいな」。福島県から夫婦で道内を旅行中という60代の男性は、背丈を優に超える巨大なフキの“林”を前に、子供のようなはしゃぎぶりを見せた。

 ラワンブキ栽培農家の中で、6ヘクタールと足寄町内最大の作付面積を誇る永井農場(旭町4)には今年、刈り取り時期の6月中旬から7月半ばにかけて3000人以上が足を運んだ。旅行代理店などが企画する「道遺産ツアー」のルートにもなり、札幌や東京、大阪など道内外から観光客が訪れる。

広大な畑でラワンブキを収穫する永井庄一さん(右)と孫の彰さん。刈り取り時期には多くの観光客が訪れるようになった


 同農場では小麦やビートなどの畑作をやめ、1991年からフキを栽培。「当時は周囲に驚かれたが、ラワンブキの認知度も高くなった。道遺産に登録されてからは、見に来る人が随分増えた」と代表の永井庄一さん(77)は話す。

 町螺湾地区の農家が89年に結成した「らわんグリーン研究グループ」(5戸)は、「生ブキ1本送り」などラワンブキのゆうパック発送を始めて16年になる。「最初は1年に100個ほどだったが、今は年間約2000個を全国へ発送している」と、代表の木村明雄さん(57)。提携する螺湾郵便局によると、同局の郵便収入の約3割はフキのゆうパックが占めるという。

■農家主婦が研究

 加工品作りも以前から盛んだ。木村さんの妻栄子さん(55)を中心とする農家主婦のグループ「ふきのとう」が考案したつくだ煮や炊き込みごはんの素(もと)などは一躍、ヒット商品に。町内ではフキの葉を乾燥させた「ラワンブキ茶」やフキの粉末を取り込んだそば、カクテルなど、趣向を凝らした商品も登場している。

 地元の菓子店でも独自の商品を開発。老舗の高橋菓子店(北1ノ1)では昨年から、刻んだフキをあんと一緒に練り上げた「フキあんぱん」を販売して好評だ。同店代表の高橋信吉さん(66)は「地元の特産物を盛り上げなきゃ。頑張りますよ」と意気込む。

 JAあしょろ(仲野貞夫組合長)が88年にラワンブキの増殖技術を確立して以降、乱獲や河川環境の変化などで減少していたラワンブキの畑栽培が可能になった。自生地以外では、永井農場をはじめ24戸(計15ヘクタール)が畑で栽培し、年間の収穫量は約500トン。町内の農産物としては少ない部類に入るが、「自生のみのころと比べれば、安定した出荷が確保されるようになった。来年はさらに5戸ほどが増える予定で、ラワンブキの良さを広めようと各農家が頑張っている」(同JA農産部)という。

 永井さんの孫で畑を手伝う彰さん(22)は「観賞して楽しい、食べてもおいしい農作物なんてほかにない」といい、町や町観光物産協会も、「五色湖」オンネトーなどとともに売り込みに余念がない。町は「ラワンブキは栄養価も高い。健康食品としての価値に目を向けた展開もできるはず」(農林課)とし、“次の一手”を検討している。(松村智裕)(04.07.27)

<ラワンブキ>足寄町の螺湾川に沿って自生。国内に分布するフキの中では最も大型で、2―3メートルの草丈で群生している。一般のフキと比べ、ミネラルが豊富で味も良い。町内には、観光ほ場や加工するための山菜工場もある。

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