年間キャンペーン第2部

恵みの大地
地域の資産を考える

活力の人材


こだわりで十勝の魅力発信
人的資源の連携が課題


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十勝を“水先案内”

 「雄大な自然があり、多くのことをいっぺんに楽しめる土壌がある。そんな十勝の良さを発信したかった」。大阪出身の山本康宏さん(40)、和美さん(40)夫妻は、十勝にひかれ、自ら十勝観光の“水先案内人”となった。

 2人が帯広八千代ユースホステル(帯広市八千代町基線)を始めて3年目。康宏さんは、拓成湖でのカヌーやサイクリング、凍った川でのスノーシュー体験などのガイドも務める。

 自由に楽しみを見つけてもらうのが“山本流”。冬場の観光客の約半分がリピーターで、東京から毎月訪れる人もいる。「ゆっくりと時間をかけ、素朴な十勝の良さに気付いてくれた人ほど、もう一度足を運んでくれる」と康宏さんは実感している。

 昨年4月にオープンした清水町第5線の乗馬クラブ「RANCH SUN WEST」。同クラブを経営する栗田竜太郎さん(32)も以前は横浜の会社に勤めていた。北海道にあこがれて脱サラし、4年前に清水町へ移住。栗田さんは「質の高い馬を提供すれば、管外からでも人は来てくれる。それが十勝の魅力のアピールになればうれしい」と笑顔を見せる。


自然の魅力を満喫できるホースキャンプなど、十勝では独自の体験観光も始まっている(新得町のウエスタン・ビレッジ・サホロ。山下僚撮影)

 本州から定期的に同クラブを訪れる人もいる。横浜市在住の大竹美和さん(25)は月1、2回通って愛馬にまたがり、「将来は清水町に住みたい」と話すほどの熱の入れようだ。

 十勝独自のレジャーを生み出した人もいる。「ウエスタン・ビレッジ・サホロ」(新得町狩勝高原)の経営主ジャック及川さん(53)。「日本で常時行っているのはうちだけ」という「ホースキャンプ」がじわじわと人気を得ている。

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自然との一体感

 馬で川を渡り、がけの急斜面を上り下りする。夜は馬のシルエットを見ながら眠りにつく。他では味わえない自然との一体感に、観光客の反応は上々だ。及川さんは「手つかずの自然と遊ぶ楽しみを今後も提供したい」と意気込む。

 十勝にほれ込んだ人たちが織りなす「遊び」の数々。自然や食などとともに「人こそ究極の観光資源」と唱える識者も少なくない。

 そうした中、人的なネットワークの動きも生まれてきた。今年2月には帯広、芽室、中札内の農村活性化や観光資源の効果的な発信法などを民主導で探る「とかちポロシリネット」が発足。北海道カントリーファーム(帯広市拓成町)代表の高堂雅美さん(52)が代表を務め、八千代ユースホステルの山本康宏さんら3市町村の農業者や観光関連の事業者の有志で構成する。

 今後は集積したデータを一元化し、情報発信やビジネス開拓の糸口とする考え。観光分野では現在、メンバー自身が「営業マン」となり、宿泊先やレジャー施設など、観光客のニーズに適した事業者を紹介し合い、地域の魅力アップに努めている。

 「近視眼的に観光をとらえず、長期的な視野を持ちたい。(観光客に)本格的にのめり込んでもらうためのプログラム作りを確立し、より良いサービスを提供することで、お客さんは自然とついてくる」と高堂さんは力を込める。

 ただ、こうした人的資源を生かすネットワーク化の動きも、十勝全体でみると、実際にはまだあまり進んでいないのが現状。連携を強化し、質の高いこだわりをさらに推し進めることが、十勝観光の道のりを照らす光となるかもしれない。(松村智裕)(04.4.14)

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