体験学習 

栽培、料理通じ喜び実感
“応援団”を地道に育成

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更別小で取り組み

 「体験を通して将来を担う子供たちが農業の面白さを理解し、関心を高めてもらいたい。地道な活動だが、後継者問題の解決にもつながり、地域を元気にしていくと信じている」。JAさらべつ青年部の吉田昭一部長(31)は、3年前から更別小学校(管忠良校長、児童205人)と連携して始めた「子ども農作業体験事業」の意義を語る。

 これまで学校農園を使ってソバや大豆などの栽培、収穫物による加工などを実践。PTAや女性部の協力も得ながら、活動は軌道に乗り始めた。

 今年の6年生は春先からキャベツ栽培に取り組み、部員と一緒に苗の植え付けから除草に至るまでさまざまな管理作業を経験してきた。9月にはその集大成として、初めてプロの調理師を招いて本格的なオムレツ、卵スープなどを料理した。

 愛情込めて育て上げたキャベツは、収穫直後に茎の部分から勢いよく水が滴る新鮮さ。出来上がった料理をほお張って「こんなにおいしく食べられるんだ」と驚き、自分たちで育て、料理する喜びを実感した。
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プロの調理師から手ほどきを受け、笑顔でキャベツ料理に取り組む更別小児童(03年9月)
農協青年部が活躍

 菅校長は「食べることに対して子供たちの目の輝きが変わった。成長過程での体験は将来きっと生きる。今後も青年部と良い関係を続けたい」と青年部の活動に信頼を寄せている。

 同事業は道農協青年部が消費者との交流と“食教育”の観点から2002年に開始。各地で田植えや酪農など地域特性を生かした40近いメニューが展開されている。十勝地区農協青年部協議会の松本弘幸会長(35)は「主戦力の青年部員にとって繁忙期を縫っての活動は大変だが、いずれ自分たちに返ってくる。半永久的に継続していくべき重要なテーマだ」と見る。

 十勝支庁は今年「食と農のふれあい促進事業」を独自に立ち上げた。道も「農業・農村コンセンサス形成総合推進(農業農村応援団づくり促進)事業」を展開するなど、行政サイドも「食」を介して農業と消費者の距離を縮める活動の支援に乗り出した。支庁農務課の梶田敏博課長(43)は「生まれ育った土地の生産物を口にすることはごく当たり前のこと。点が広がって面になるきっかけをつくり、地元農業の応援団を増やしたい」と力を込める。

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お料理の社会科

 「金で手間を省くことは楽だが、その先には『落とし穴』がある。食を取り巻く環境は危機的な状況だ」。十勝郷土料理研究会の村田ナホ会長(67)は、コンビニ弁当全盛、個食や欠食が常態化しつつあることに危機感を募らす。

 「食べることはすべての基本。そこから知恵や生きる力を育てたい」と考え、高校の家庭科教諭退職を契機に1997年から、夫の歩さん(69)と共に市内で「お料理の社会科」という料理教室を続けている。素材は極力十勝産を利用。学校教育と家庭をつなぐことを念頭に、食材の由来や栽培方法なども分かりやすく説明する。7年間の生徒数は延べ1200人を超えた。

 食と農の距離が広がると、産地偽装など食を取り巻く問題が発生しやすくなる。農作業や調理という体験を通して農業の一端に触れることで、どれだけ地元に「農業の応援団」を作れるかが、名実ともに十勝が日本の食料を支える地域として発展していけるかどうかの試金石にもなる。(広田実)(03.11.29)

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