宿泊施設 

食の優位性で差別化を
産業連携しすそ野拡大

 観光ほどすそ野が広い産業はなく、十勝にとって基盤の農業は欠かすことができない観光資源となる。豊富な農畜産物を活用し、資源として宿泊施設でどのように提供するのが効果的なのか。JTB北海道営業本部渉外営業課営業開発担当グループリーダーの鈴木紀彦さん(34)に旅行会社から見た必要な要素などを聞いた。(池谷智仁)

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3大要素満たす
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「地域間、産業間で連携してすそ野を広げることが重要」と語る鈴木さん
 観光は地域全体の力が試される産業で、地域連携がすべての前提になります。観光が核となり、農業などの各産業と多角的に手を取り合わなければ、食を始めとする観光資源は広がりません。すそ野を広げることでホスピタリティ(思いやりの心)の人材育成や雇用創出にもつながります。

 観光客が求めるのは温泉と自然、それに食。この3大要素を満たすことが成功の条件ですが、十勝はすべてがそろっています。差別化も重要で、夜景の函館や離島の奥尻などが成功例。旅行形態は団体が減少、個人のフリープランが9割以上で、量から質の追求に移行しています。観光客の食への期待は高く、十勝は牛肉やジャガイモなどの知名度で優位性があります。

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五感すべて活用を

 食の優位性を生かして十勝ブランドを確立することが必要です。鳥取県の三朝温泉は1990年に第三セクターの三朝温泉炊飯センターを設立し、地元の米を1つの釜(かま)で炊き各旅館に提供する取り組みで、特徴を押し出しています。

 十勝でもいくつかの宿泊施設が協力して、豆やジャガイモなどで同様の取り組みをしてはどうでしょうか。野菜を素材にするのなら、日本の食文化に根差し、特徴も出やすい“漬物”が十勝ブランドを生かすのに最適。月ごとに旬の食材で同じ料理を提供、十勝に来れば必ずこれが出ますという品を作ればPR効果は高まります。また、共同購入することでコスト削減にもつながります。

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体験観光で可能性

 地場産品をただ食べるのではなく五感すべてを活用させる仕組みが重要。農畜産物に実際に触れ、畑から上るにおいなどをかぐというその場でしか体験できないことを通してから味わえば、いつまでも思い出に残ります。十勝はアウトドア資源もあり、体験事業が育つ土壌があると考えます。

 ストーリー性を持たせた体験観光が確立できれば可能性はさらに広がります。収穫体験に加えて、農畜産物の歴史や成育過程、収穫から消費者に届くまでの流通経路などを、旅館で料理を出すときに説明。食材を通して地域を学ぶことは、消費者である観光客の農業理解へつながります。

 本業などの関係で農業者の協力はなかなか難しいですが、「とにかくやってみること」が重要です。生産者には当たり前でも消費者にとっては新鮮なことは多々あります。観光客が喜ぶ姿に直接触れることで、生産者側が活性化して後継者が誕生した例もあります。農業者の物販売り上げも伸びるという2次的効果も期待できるでしょう。(03.08.26)

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JTB北海道渉外営業課 鈴木紀彦氏

<プロフィル>1969年北海道生まれ。旅行関係の専門学校などを経て90年JTB北海道入社。営業や企画、添乗員などを経験し、2002年2月から現職。道内40カ所以上の営業部門を統括し、新しいビジネスモデルを創造、自治体や地域の課題を解決するプロモーションも実施している。「世のため人のためにできる仕事」と魅力を語る。

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