食品残さ物利用・上

“十勝発”の技術で調味料
ニーズ高い天然添加物

 「店頭に並ぶ商品でメーカーに対抗するのは難しい。これから目指すなら、例えば食品添加物のような中間食材。特に天然添加物が今のニーズ」。道立十勝圏地域食品加工技術センターの大庭潔主任研究員(45)は、食品加工の将来についてこう語る。

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ジャガイモが原料

 芽室東工業団地内の「コスモ食品」(本社東京)は、農産物加工で発生する残さ物を有効利用し、この中間食材を生み出している会社だ。

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ビートプロテイン(中央のビーカー左端)とポテトプロテイン(同左から2番目)から作られた粉末状(手前)や液体(ビーカー後方)の調味料。市場ニーズに応じた中間食材の開発が日々進められている(折原徹也撮影)

 主力商品の1つ「アミノ酸調味料」の原料は、でんぷん製造時の上澄み。ここから取りだされたポテトプロテイン(たんぱく質の一種)が、独自の加工技術を経て調味料に形を変える。

 ポテトプロテインからの調味料製造を研究し始めたのは1989年。同社研究室の宮坂春生室長(69)は「アミノ酸調味料を製造する植物性原料は、大豆やトウモロコシがほとんどだったが、同じものを使ったのではコスト面で他社に対抗できないし、相場で価格も変動する。ジャガイモは価格、供給量ともに安定していた」とジャガイモに着目したきっかけを話した。

 調味料の製造技術は、1年ほどかけて独自に開発、特許を取得した。技術確立後の91年には、“原料供給地”に近い同工業団地に北海道工場を建設した。当時、ホクレン芽室でんぷん工場で主に飼料用のポテトプロテインを製造していたことが建設場所選択の決め手となった。

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活用範囲は無限

 同工場では現在、ビートの糖液から取り出した、たんぱく質(ビートプロテイン)や魚粉、ビール酵母などの天然素材を原料に、液体や粉末状の業務用調味料、機能性食品も製造している。技術研究では十勝圏地域食品加工技術センターと連携することもある。研究素材は十勝関連の産物が多い。

 宮坂室長は「農産物をエキスにすれば(貯蔵に)場所を取らず、長期間の保存も可能になる。さらにエキスからさまざまな成分を取り出すことで用途も広がる」。実際、アミノ酸調味料は、お菓子や漬物、ラーメンスープなど加工食品の味付けに幅広く利用されている。商品として直接目につくことはないが、活用範囲はほぼ無限だ。

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漁業や畜産でも

 「商品は開発しただけではだめ。販路を開拓し、商業ベースに乗らなければいけない」−。東京の本社では、市場が何を求めているか常に調査し、商品開発に反映させている。“十勝発”の独自技術も大消費地のニーズがあってこそ、活躍の場が与えられる。

 宮坂室長は「農業に限らず漁業や畜産で生産されるものでもアミノ酸調味料を作ることができる。いろいろな産業が一体となることで新たな道が見え、そこから新しい物が生まれてくるのではないか」と期待する。十勝にある豊富な“素材”から新製品を生み出そうと研究は日々続いている。(平田幸嗣)(03.06.14)

<アミノ酸>体や臓器のもととなるたんぱく質は20種類のアミノ酸で構成されている。種類によって甘みや苦み、酸味など味が違い、この組み合わせが食べ物の味を決める重要な要素となっている。うま味成分のグルタミン酸もアミノ酸の1種。

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