地域おこし

大手工場核にすそ野拡大
生産基盤維持 経済活性化も

カルビー、産地に

 「帯広からジャガイモ産業のクラスター(房)を広げ、アジアナンバーワンの加工地帯を目指したい。輸出基地に成長させることも夢ではない」。カルビーポテト(本社東京)の松本淳取締役(47)は力強く語る。同社は、カルビーの原料部門を分離して1980年に設立、97年には帯広市別府町に同社初の産地立地型工場を構えた。
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卵から派生した加工品の数々。卵殻パウダーや加工品原料、微量元素抽出物が見学コースに展示されている(キユーピー五霞工場)

 帯広工場では管内4市町村から加工イモを集め、スナック菓子「じゃがりこ」などを製造。原料受け入れは創業当初の月1600トンから4700トンに増加している。

 JA帯広かわにしの遠藤広行農産部長(57)は「確実な出荷先があることで農家は安心して生産できる」と話す。同社と契約を結ぶ市内の栽培農家は約180戸。同JAの加工イモ年間出荷量約4万トンは十勝全体の約14%を占める。ジャガイモ生産の維持、拡大という観点からも同工場の存在価値は高まる一方だ。

 帯広市川西加工馬鈴薯(ばれいしょ)生産組合の研修会には、同社のフィールドマン(産地担当者)が出席して市場ニーズや技術情報を提供。生産者と“二人三脚”でレベルアップを目指す。松本取締役は「農家と製造、流通が組織を超えて手をつなぎ、消費者ニーズをとらえた商品開発を進めていく」と話す。遠藤部長は「農業と製造業が足並みをそろえて加工イモの生産基盤を維持拡大し、輸入品に対抗していきたい」と期待を込め、「農工一体」を強調した。

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キユーピー中心に

 国内有数の鶏卵産地の一角にある茨城県五霞(ごか)町には、マヨネーズを核に、関連工場のコンビナートを形成している例がある。

 国内トップのシェアを誇るキユーピーの五霞工場。生産能力は同社最大。500グラムのレギュラーマヨネーズは、東京以北分の製造を一手に引き受ける。契約農場から受け入れる原料卵は、日量35トンを超える。

 敷地内には、マヨネーズを核に、酢やサラダ油、ボトルなどの原料資材供給会社に加え、総菜工場や物流会社など14社が林立。従業員数は合わせて1200−1300人に達する。

 副産物の殻はカルシウム強化食品、卵殻膜は調味料へ加工する。卵白からは化粧品や医薬品の原料も抽出する。同工場の俵好彦次長(43)は「あらゆる事業は卵から派生し、余すところない完全利用を目指している」と説明する。国内トップメーカーの技術力がこうした複合産業化の背景にあるのは、疑うべくもない。

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町全体にメリット

 同町の人口は約1万人。「優良企業の存在によって雇用が確保され、地域活性化をけん引している」(町産業課)と町全体へのメリットは小さくない。現在、同町は埼玉県幸手市と越境合併が協議されているが、豊富な税収に基づく財政基盤が交渉を進めやすくさせる要因となっているという。

 「技術開発力が発展途上の十勝ではメーカーを誘致することも選択肢の1つ」と、道立十勝圏地域食品加工技術センターの大庭潔主任研究員(45)は指摘する。高度な商品開発力と巨大な販売網を持つ企業との連携は、産地にとって、農業生産基盤の維持と同時に、雇用拡大や地域経済活性化のカギも握る。(広田実)(03.06.10)

<キユーピー五霞工場>埼玉県との県境、茨城県五霞町川妻工業団地にある。茨城や埼玉県内の農場から年間1万8000トンの原料卵を受け入れ、3万トンのマヨネーズなどを製造する同社最大の工場。関連事業所を合わせた敷地面積は33万平方メートル。

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