農業情報化計画

通信インフラ
新産業、民間活力を創出
農業サイドの需要喚起必要

 「情報インフラの整備は目的ではなく手段。大容量の高速通信網を使って、新たな産業、民間活力を助長させたい」−。県を挙げてIT戦略を展開している岐阜県農林水産政策室の伊藤勝美技術課長補佐はこう強調する。同県は今年度までに、光ファイバー幹線400キロを自前で整備、長期的には延長2600キロの光ファイバー網を敷き、民間に開放する計画だ。
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昨年度1億2000万円を売り上げた岐阜県平田町直営の野菜直売所。商品点数は膨大だが、ITによる管理で効率化を実現した

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遅れる農村高速化

 農業分野のIT推進で、大きなネックとなるのが通信インフラの整備。都市部では光ファイバーによる大容量サービスが続々と始まる一方、農村の高速化が遅れている現実は否めない。道ブロードバンド構想でも「特に過疎地域ではデジタル・ディバイド(情報格差)の発生が懸念される」と指摘している。

 伊藤課長補佐は「インフラがあってこそ、次の段階に進めるのだが、民間まかせだと県内全域をカバーするには時間がかかり過ぎる」と話す。同県では幹線のほか、ケーブルテレビ(CATV)のカバー率を面積で7割、人口で9割程度に高める構想も進めている。インフラ整備の勢いは本道の比ではない。

 道内では今年度中に、約170万世帯(カバー率69%)でCATVやADSL(非対称デジタル加入者線)によるブロードバンドサービスが利用できる予定。十勝ではOCTVが4月から帯広市内で光ファイバーの高速サービスを開始する。ADSLカバー率も全道平均をかなり上回る見込みだが、交換局からの距離に制約があるなど特に農村部では解決すべき課題が多く残されている。

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栽培履歴を開示

 岐阜県はIT関連の施策も活発に展開している。県のほぼ南端にある平田町が昨年7月、県道沿いの野菜直売所にITを導入した際にも県の支援があった。直売所は売り上げが年1億円を超え、県内の注目の的だ。

 納品情報を入力するセンター(コンピューター)と直売所のPOS(販売時点情報管理)を接続。生産者や消費者が、販売状況を1時間おきにホームページで確認できるようにした。同町の小野清美農務課長は「欲しい野菜、売れ筋の野菜がすぐに分かるので、素早い分析、対応が可能になった。栽培履歴開示などの取り組みも進んできた」と説明する。

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人材養成にも力

 同県では、花き、野菜の生産計画と市場ニーズを連動させたネットワークが稼働中。さらに、JA全農が事業主体となった農家の在宅健康管理や家畜衛生、農地情報に関するシステムも相次いで構築している。「作ったインフラをいかに活用するかが次の課題で、ITを使いこなせる人材養成に主眼を置いた事業にも力を入れている」と伊藤課長補佐は話す。

 広大な面積を有する北海道は、岐阜と違って、インフラ整備を「民間活力」に託している。採算面でのハンディを背負っている農村部で高速通信環境を整備するには、農村の核をなす農業サイドからIT需要を掘り起こす対策が不可欠。そのためにも人材育成を含めたソフト事業展開のスピードを上げる必要がある。ハードの整備を待っていては、都市との情報格差は広がるばかりだ。(高久佳也)(第2部・おわり)(03.03.15)

<北海道ブロードバンド構想>昨年11月策定。道民が格差なく大容量通信のブロードバンドサービスを受けられるための方策などを示した構想。過疎地域でのインフラ整備の課題として(1)地域内ニーズの喚起(2)電気通信事業者参入のための条件整備(3)無線アクセス網整備などを挙げている。

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