| 生き残りにかける 全国自治体に学ぶ まちのかたち 変わる地方自治=6= 神奈川県小田原市 |
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“協働”で政策形成能力向上へ 歴史生かしてまちづくり らしさを発信 「ここから生まれるものは大きい。市の財産や資源を育て、小田原らしさを発信していくことが役目」と、小田原市政策総合研究所副所長の石嶋襄企画部次長は誇らしげに語った。案内された場所は市役所庁舎企画部の一画に設けられた質素な作業スペースだ。
小田原駅を降りると、小田原城の天守閣が間近にそびえる。自然と足がそちらに向かうが、道中に古い町並みがあるわけでもなく、あてもなく周辺を散策しても歴史を感じさせるものは見つからない。市街地はどこか素っ気なく感じた。 研究所の思いも同じで、研究の柱には「箱根、伊豆への通過点」から脱却する魅力的な町づくりを据えた。歴史ある小田原らしさを生かした「オンリーワン(唯一)」のまちづくりを目指した。
別邸利用など研究 初年度は郊外大型店の進出によって衰退した中心市街地の活性化を目的にした「旧東海道周辺のまちづくり」や、活用法が見いだせなかった近代政財界人の別邸の利用を研究した。01年は幅を広げて、歴史的遺産や固有の産業・生活文化のリストを作っている。
実際に市民と町を歩いて現場を回ることで、職員自身が気付かされることも多かった。歴史的建造物の利用価値などをめぐり深夜まで議論を交わし、電子メールでは毎日意見をぶつけ合うことで、一から課題や問題点を整理できたという。時田課長補佐は「参加する職員の意識も変わってきている。識者や市民との議論で、先例のないところから政策形成するトレーニングになっている」と強調する。将来的には職員研修の一環としても組み込む考えだ。 01年度は「市民ラボ」としてこれまでの研究成果を市民に周知しようと、市民研究員が中心となってワークショップを展開している。石嶋次長は「市民の間にも波及効果がある。地道な活動だが2年目として確実に階段を上っている」と手ごたえを語る。いずれは市民自らがテーマをデザインし、コンペで発表できるような体制を整えるという。
研究は徐々に結実
研究所の提言に基づいて昨年旧網問屋を改修して整備された「なりわい交流館」は、現在観光案内と市民の町づくり交流の拠点として機能している。別邸も文化遺産として価値が見直され、保存と活用が進んでおり、研究成果は徐々に実を結び始めている。
帰りがけに時田課長補佐が市内を案内してくれた。国道1号沿いに威風堂々と構える交流館、美しく整備された別邸が、市民と行政、識者がスクラムを組んだ小田原の新しい町づくりを象徴しているように感じた。
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