情報共有

◇送り手、受け手双方に戸惑い◇

行政側に重い説明責任

 「こうしたいとの意思表示があれば、意見を言うこともできる。今のままでは、どう判断してよいのか分からない」。10月下旬に幕別町で開かれた合併に関する「地域説明会」で、出席した町内の男性はこう発言した。

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表面的現状のみ

 行政側がこれまでお題目のように唱えてきた住民との情報共有。今、各市町村で行われている合併に関した住民説明会などでうかがえるのは、送り手の行政と、受け手住民の認識のズレ、どう情報を共有、対応してよいのか、双方が戸惑っている姿ではないだろうか。
 説明会では、財政状況の厳しさ、国の合併推進策が前面に出る。しかし、「合併で生活がどう変わっていくのか」は具体的につかめない。「生き残りの選択肢は残されているのか」「相手先があるのか。それはどこなのか」。行政側は自身の判断、住民の知りたいことは伝えず、表面的現状を投げ掛けているだけだ。

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行政側と住民側の情報共有の場として期待される説明会
(10月下旬、幕別町内で)

回収率低いアンケート

 池田町は11月中旬、「合併についてどう思うか」などについて、約3600世帯を対象にアンケート用紙を配布した。15日を締め切りとしていたが、回収は219通にとどまった。「ほかのまちでもこの手のアンケートの回収率は悪いと聞いている。不確定な要素が多く、答えるのがどうしても難しい」(企画財政課)とするが、住民に関心を持ってもらう仕掛けづくりに失敗しているとも言える。
 18歳、19歳の未成年に投票権を付与した秋田県岩城町をはじめ、今年に入り、全国で市町村合併をめぐる住民投票は14日現在10町で実施された。だが、十勝では「住民投票をするのは簡単だが、その結果だけでいいのか。将来への道を成り立たせるためにはまず町、議会が判断しなければならない」(西十勝の首長)など、機が熟していないことを強調する。
 一方、住民側は独自に取り組もうとするが壁に当たる。中札内村のまちづくりグループ「なかさつネット」(坂本裕代表)は4月から月1回、「市町村合併を考える」をテーマに懇談会を始めた。「みんな合併問題には関心がある。けれど、輪は広がっていかない。個人の意見を言う文化的土壌がないからだと思う。結局は合併から離れ、今は違うテーマで勉強会を続けている」(長谷川竹彦前代表)とする。

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住民側の姿勢も重要

 行政側から「住民の意見を判断材料にしたい」との言葉はよく耳にする。だが、結局は状況をみて行政と議会の間で判断、住民がそれに従う構図になりはしないかとの疑念はぬぐえない。今、流されている情報は役場や議会の論理だけで組み立てられていないかどうかを、検証する手立てが住民にあるのか疑問だ。
 まちの将来を決める事態だからこそ、行政側が果たさなければならない説明責任は重い。そして、能動的にかかわろうとする住民側の姿勢も重要になっている。  (年間キャンペーン取材班)(02.12.18)



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