住民自治

◇合併論議機に新たな仕組みを◇

住民意識の変化も必要

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「関係見直す機会」

 「行政サービスを当然と思いすぎている。もっと住民自身が自治に目を向けなければならない。その意味では、合併問題は自治体と住民の関係を見直す絶好の機会」
 今年実験的にエコマネーを導入するなど、早くから住民自治を推進してきた帯広市大空町連合自治会の関健治会長は、こう言い切る。
 十勝の合併論議の現場で、住民の建設的な声はあまり聞こえてこない。行政主導に慣れた住民側の、まちづくり参画意識の低さの表れとも言える。
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帯広市大空町連合自治会が実験的にはじめたエコマネー事業。住民側にも、積極的にまちづくりに参加する姿勢が求められる

 合併問題は、あらためて基礎的自治体の単位、そして住民自治の在り方を問い直している。地方制度調査会の西尾勝副会長(国際基督教大学教授)が11月に発表した私案では、基礎的自治体の内部に住民自治を確保、自治組織は自治体の判断で設置できるようにすべき−とある。ほかに自民党の地方自治に関するプロジェクトチームは、市町村合併しないまま残った人口1万人未満の小規模市町村の権限を大幅に縮小するなどとした中間報告を発表、自民党総務部会・地方行政調査会もそれらを了承した。

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「近隣政府」設置を提言

 全国の首長で組織し、地方分権や都市自治の視点で政策研究する「日本都市センター」(東京)でも今年、町内会やまちづくり協議会など身近な地域で住民自治強化を目指す「近隣政府(=ネイバーフッドガバメント)」の設置を提言した。基礎自治体の中に住民選挙で議員を選出、自治体の財源を配分して財産管理などを行わせる。
 「近隣政府」という考え方は、自治体と住民の“距離”を縮めるシステムとして、すでに諸外国では導入が進んでいる。法人格や課税権、意思決定システムとして議会を有しているイングランドの「パリッシュ」。また、選挙で委員を選出、市行政から告知権・聴聞権を与えられ、住民に身近な都市施設に関する決定権を持つドイツ・ミュンヘン市の「市区委員会」などがそうだ。
 日本と歩んできた歴史や風土はもちろん、制度自体も違い、単純には比較できない。だが、NPO(民間非営利団体)法人・コミュニティシンクタンク「あうるず」の菊池貞雄専務=北王コンサルタント勤務=は「近隣政府という形態も含め、行政と連携し、何らかの形で地域コミュニティーを再編し、相互扶助サービスを進める必要がある。日本の場合、古くからある町内会や自治会、小中学校区を核とした再編が考えられるのでは」と提案する。

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「現状では機能しない」

 今、管内の多くの自治体では、まちづくりのキーワードとして、行政と住民がともに手を携える「協働社会」を掲げている。NPOも次々と生まれているが、一方で、「今のまま、住民自治の仕組みを作っても機能しない。住民意識がそれだけ高まっていない」(行政関係者)との声も聞こえる。
 厳しい財政事情や少子高齢化の中、行政との関係を見直し、コミュニティーの新たな仕組みをどうつくっていくかを、合併問題は住民に問いかけている。  (年間キャンペーン取材班)(02.12.17)



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