“十勝市”の行方

◇旗振り役は?実態見えず◇

問われる将来ビジョン

 「いろいろ論議しているが、小さな町同士が合併してもメリットは少ない。十勝全体、それ以外はまとまらないのではないか」(西十勝の首長)。

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「ブランド確立に効果」

 十勝毎日新聞社のアンケートでの合併パターンでは、1市19町村で構成する「十勝市」を挙げた人が多かった。

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日高山脈の下、広がる田園風景。もっとも北海道らしいと言われる十勝だが、合併問題は21世紀の十勝ビジョンも問い掛けている

 ある帯広市議は「地方交付税の減額、高齢化率の上昇により、町村の多くは近い将来、財政的にやっていけなくなり、サービスも低下する。そうなれば町村からの人口流出は続く」とした上で、「十勝が生き残っていくためには、農業を発展させるしかない。今、各市町村でばらばらにしていることを集中、効率的にし、十勝ブランドを多く確立させることもできる。中核市として、国からの権限委譲も多くなる」と「十勝市」実現の必要性を強調した。

「声掛け待っている」

 常山誠芽室町長は先の帯広商工会議所での市町村合併についての卓話で、「町村の一部は帯広からの声掛けを待っている」と心境を明かした。別の複数の首長も同様の指摘をする。
 これに対し、ある十勝町村会関係者は「十勝市の発想は『みんなで渡れば怖くない』の論理だろうが、すべての町村に支所ができ、議会を置くのであれば、何ら合理化されない。合併の意味はない」と否定的だ。
 砂川敏文市長は十勝市の可能性については認めるものの「帯広が前面に出てはうまくいかない」とリーダーシップを取っていくことに否定的見解を示す。十勝全体の視点に立った場合、だれが旗振りをするのか、見えないのが実態だ。
 人口約36万人。十勝は19町村が帯広を囲み、買い物や働く場として帯広に向けて人が流れる。農業という同じ産業基盤に立ち、道央圏とは日高山脈でさえぎられている地理的条件。管外の人からは「これだけ支庁単位でまとまり、郷土意識の強い地域も珍しい」との声をよく聞く。十勝市を望む声が出てくるゆえんだ。

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帯広への反発も

 しかし、十勝圏複合事務組合などすでに20市町村が集まって広域で行政課題について対応しているものの、「十勝は1つといいながら、市は町村のことを配慮せず、帯広の発展のことばかり考えてきた」と、町村の帯広に対する反発が根強いのも事実だ。
 合併問題は、厳しい財政状況、変化の激しい時代の中、各自治体に今後のまちづくりをどう展開していくかを迫っている。現段階で、十勝市の現実味はないが、都市間競争を勝ち抜くために、21世紀の十勝ビジョンをどう打ち出していくのかも同時に問い掛けている。
(おわり)(年間キャンペーン取材班)(02.9.25)

※砂川市長インタビュー

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