新潟県佐渡 −上−

◇「市」対「町村」主導権めぐり駆け引き◇

感情的な対立残し協議会進行

 6月上旬。7万人余りが生活する新潟県佐渡も梅雨入りし、干ばつ気味の島を久々の雨が濡らした。島の商工業の中心地・佐和田町に島内1市7町2村の全首長、議長が顔をそろえた。10回目を迎える「佐渡市町村合併検討協議会」(会長・石塚英夫赤泊村長)が始まった。

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市対町村の対立を内包しながら04年1月の大合併に向け協議を重ねる「佐渡市町村合併検討協議会」

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「発言は毎回揺れてる」

 川口徳一両津市長 「10月段階での法定協議会への移行スケジュールは、これから住民説明会もあるし、(間に合うかどうか)問題がある」
 大澤祐治郎佐和田町議長 「果たして積極的に合併しようという姿勢なのか。市長の発言は毎回揺れている」
 川口市長 「私も全島1市の合併を前提に参加している。ただ大きな問題については議論をさせていただきたい」
 1955年前後の「昭和の大合併」で25が10の自治体に再編統合された佐渡。これを1つにする“究極の大合併”に向けて動き出しているが、島唯一の市である両津と9町村との間に合併の主導権争いの駆け引きが見え隠れする。

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「事業持っていかれる」

 両津市中心商店街の商店経営者(62)は「農水相経験者の近藤元次自民党代議士(故人)が相川町(島北部の)出身。その時、両津は革新系市長(前市長)で、市が誘致した県の事業も町村に持っていかれたりしている。政治的な綱引きが背景だね」と9対1の対立の“土壌”を解説する。
 島内町村の首長経験者(72)も「町村が先進的な事業をやると、市議が『町村ごときに先を越されるとは何ごと』と、市民に宣伝する。町村をばかにした態度ですよ」と話し、感情的なしこりも根底にある。
 対立の構図は、合併期日の決定を巡る攻防に象徴的に表れた。10市町村は「新設対等合併」とする方針を確認、5月の第9回協議会で、合併施行日を「2004年1月」と定めた。

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期限設定でスクラム

 「十分な時間が必要」として、両津の川口市長は合併特例法の期限である05年3月を主張。これに対し、町村側はスクラムを組み、両津抜きでも市に移行できる日程の設定に成功、両津の意向を封じ込めた。
 両津は協議会への参加が昨年12月と半年出遅れたが、川口市長は「住民意向を把握した上での全島1市への参加決定」として、引くに引けない状況。一方で協議会で口を開けば「町村側に警戒感を抱かれ、市の主張、意見が通りにくい」と、板挟みの状況にいらだちを募らせる。
 感情的な対立は残されたまま、新市名の公募、新市ビジョンの策定など、大合併に向けたスケジュールだけが、極めて淡々と進んでいるように感じた。(井上猛)(02.6.28)


 <メモ>合併特例法第5条では、中心市街地戸数が全戸数の6割以上といった条件を満たさなくとも、04年3月末までに合併すれば、3万人という人口条件さえクリアしていれば市に移行できる。佐渡の場合、2000年の国勢調査で両津市が1万7394人、9町村合わせて5万4775人。佐渡の全面積は855平方キロメートル。


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