生き残りにかける
全国自治体に学ぶ

まちのかたち 変わる地方自治=2=

東京都杉並区


新たな自主財源づくり
環境目的の「レジ袋税」導入へ
「みどりの都市をアピール」

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「買い物をする際はマイバッグ持参を」と呼び掛ける杉並区。レジ袋税制定で、「みどりの都市」のアピールを狙う

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マイバックを持参

 東京都杉並区の中村一郎・環境清掃部副参事は「見てください」と言ってかばんから小さく折り畳んだマイバッグ(買った商品を入れる袋)を取り出した。「区の職員は皆、持っています。周辺のコンビニやスーパーも分かっていて、マイバッグを確認するまでレジ袋をすぐには出しません」と話す顔は、新税の普及に向け、自信に満ちていた。

 人口52万人、住宅街が広がる杉並区は2000年9月、店頭でのレジ袋の譲渡に5円課税する杉並独自の新税「レジ袋税(すぎなみ環境目的税)」を導入すると発表、他には例がないケースだけに、区内だけでなく全国を驚かせた。従来のマイバッグ持参運動をより進め、新税導入と並行してレジ袋辞退者にシールを配布し、ためると商店街で割引券として使える「エコシール制度」も新設する。

 「口でいうだけでは効果に限界がある。環境を良くするための規制手段がたまたま新税であって、増収が第一目的ではない。袋をもらわなければ税を払う必要もないし、将来的にはレジ袋税はゼロにし、みどりの都市・杉並を全国へアピールしたい」。1999年、区長に就任、同税の導入を強く推進する山田宏氏(43)は力説する。

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「杉並病」の反省

 同税は苦しい財政状況の中、財源確保策として浮上。それが、消費者や事業者らで組織する新税調査会議で議論していく中で、導入目的は環境都市推進へと変わっていった。背景には、区内にある不燃ごみ中継処理施設の周辺住民が、目やのどの痛み、吐き気やめまいなどの健康被害を受けたとされ、今も苦しんでいる「杉並病」への反省がある。

 区内のごみ処分にかかる事業費は年間80億円。うち、レジ袋は不燃ゴミ全体の4%で、処理費は年間1億円。不燃ごみ自体を減らすとともに、環境に対する住民意識の向上を狙っている。条例制定後、レジ袋の使用量を5年間で現在より60%削減することを目標に掲げる。「ごみ処理もすべて税金。その分の費用だけでも浮けば、ほかに有効に税金を活用できる」(赤井則夫・清掃管理課長)。

 住宅街の杉並区は商店街の数も多い。杉並区商店会連合会(徳田達介会長)に所属する商店会は95。同会は一応、エコシール制との並行実施などを条件に賛成を表明する。しかし、区内を代表する商店街、阿佐ヶ谷商店街振興組合(通称・パールセンター)を歩いても、区の職員たちが「話題になっている」と見せてくれた「レジ袋いりません」(マイバック推進協議会作製)のポスターを張っていた店も、マイバッグを持っている人もほとんど見なかった。

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6割以上が賛成

 パールセンターで創業80年、食料品の2代目店主、川口洋暁さん(58)は「レジ袋税の狙いや意義は理解できるが、われわれの負担は大きいし、消費者がきちんと理解してくれるか不安」と訴える。今もコンビニエンスストア業界を中心に同税の導入の見直しを求める動きもあるという。

 条例案は昨年12月の定例区議会に提案したものの、現在も継続審議が続いている。住民の間には確かに、レジ袋税への関心の度合いに差があるものの、区が同7月に実施したアンケートで、6割以上の消費者がレジ袋税を支持する結果が出たことからも成立は時間の問題のようだ。

 税を活用し、特色ある地域づくりをしようとする杉並区の試みは、今後の地方自治の在り方の試金石になると感じた。
(年間キャンペーン取材班=佐藤いづみ)(02.1.4)

東京都杉並区
 <新税導入の動き>地方分権一括法は法定外普通税が国との事前協議による同意制となったほか、新たに使途や特定の目的に限定される「法定外目的税」も創設。すでに昨年7月、山梨県河口湖周辺の3町は釣り客対象に環境整備へ生かす「遊漁税」を導入、東京都のホテル税条例案は、同12月19日に都議会を可決。道もパチンコ税の導入を検討しはじめた。

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