公共事業削減


必要性高まる新産業創出

数字以上に業界危機感


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目玉事業がない

 「公共事業削減が新年度予算に表れているが、1割カットはすべての分野にまんべんなくということではない。限られた予算は重点分野に回っていくため、ほかの分野の減少額はさらに拡大する。十勝は目玉事業がすべてめどが付いてしまっている。その2つの要素が連鎖してしまえば、受ける影響はさらに大きくなる」
 帯広建設業協会の小栗健一専務理事は、数字に表れる以上の危機感を募らせている。
 管内の公共工事の前払金保証請負金額は、今年度2月末累積(北海道建設業信用保証調べ)で、対前年同期比11・5%減の1345億7500万円にとどまった。これまで唯一、増加を維持していた農業基盤整備分野も、同3・8%の減少に転じている。農業王国の十勝で「ここまでの減少はおそらくなかった」(財務省帯広財務事務所)。
 新年度の道開発予算は前年度比11%減と、さらに落ち込むことは確実。財政が苦しい管内市町村も土木建設費を軒並み減らしているのが現状だ。

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協力体制が不可欠

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目玉事業の一つだった札内川清柳大橋は23日に開通した今、その後の大規模な建設事業は管内に見られない

 十勝経済はこれまで「農業、公共工事という2つのエンジンで安定飛行を続けてきた」(田尻隆士日本銀行帯広事務所長)。その“エンジン”の一つが力を弱めている今、田尻所長は「十勝をどうするかという方向性、ビジョンを、行政を含め官民一体で考え出す瀬戸際に来ている」と指摘する。
 新たな産業興しに向け、歩みは続けられている。関係者は「各業界は横の連携に弱い」と口にしてきたが、1997年に発足した十勝圏産業クラスター研究会は、99年に研究推進会議へと発展。十勝の一次産業と二次産業をつなぐ道を探り、シーズ(産業の芽)の発掘に力を入れる。
 農産物やその過程で発生する生成物を生かした商品の案は、少なからずある。しかし、実用化には販路の確保やコストダウンなど、解決しなければならない課題が多く、商品化までには至っていないのが現状。問題解決のため、関係企業だけではなく、農業者も含めより多くの輪の広がり、協力体制が不可欠となっている。

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「行動しなければ」

 「私は帯広生まれ。活気を失っていく故郷の姿は見たくない」。帯広畜産大学名誉教授、産業クラスター研究所所長などとして新産業創出に尽力してきた美濃羊輔氏は語る。「厳しく現状を分析し、追い込まれた意識を持たなければならない。新産業に乗るか乗らないかの議論では遅い。行動しなければ」と強調する。
 だれもが、痛みがやってくることは気付いている。地域経済の柱をどう築いていくか。模索は続く。(岩谷真宏)(02.3.29)


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