地方交付税の削減・上


落ち込む行政サービス

忠類村、目玉事業も見直し


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大きすぎた削減

 「目玉事業だったので続けたかったが、あまりにも交付税の削減が大きすぎて、財政的に対応しきれなくなった」
 管内で最も小さい1800人の忠類村。二川邦男村長は新年度、1996年度に自らスタートさせた定住促進事業を見直すことにした。
 同事業は住宅新築の場合、10分の1以内、100万円を限度に支給するなど住宅建設、結婚、出産、就学奨励金、定住促進奨励の5本からなる。この6年間の助成総額は約1億1200万円。
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交付税の削減は依存度が高い自治体を直撃。住民サービスの内容の転換を余儀なくしている

 人口は2000年度末、前年同期比19年ぶりに53人と増加に転じた。しかし、村民税の伸びはここ12年でようやく1000万円。「奨励金として支給した額の方が、この事業によってもたらされた税収増より多い。でも、事業による効果はあったと思っている」と話す。05年度まで段階的に縮小、廃止。06年度以降は結婚と出産の祝い金、就学奨励金のみを継続していく考えだ。
 新年度の同村予算規模は、27億4000万円。このうち交付税は予算全体のほぼ半分を占める13億2000万円。前年度比7・8%、1億1000万円の減だ。

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道路改修も先送り

 二川村長は5月に改選期を迎える。しかし多くを交付税に依存している村にとって、そんな“特殊要因”は予算ににじみ出るすき間を与えない。
 「上下水道敷設工事のため市街地内の道路路面が荒れた状態となっているのを改修しようと考えたが、先送りせざるを得なかった。今後、一般会計は20億から22億円規模にしなければならないかも知れない。そうなると住民サービスが残るかという懸念もある」
 十勝支庁の発表による資料を基に、十勝管内20市町村の01年度普通交付税・特別交付税の決定額、臨時財政対策債発行可能額を合計すると954億5763万3000円。
 前年度の交付税決定額に比べ3・1%、30億4741万7000円のマイナス。実に忠類村の02年度一般会計当初予算規模をのみ込んでしまうほどの減だ。
 32事業の見直しで2500万円の経費削減を行った忠類村だが、マチの自立を左右する地方交付税の削減に、痛みは外へと向けざるを得ない状況だ。

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住民に本音の話を

 二川村長は「今後、住民に行政サービスがどこまで落ち込むか、きちんとデータを示しながら本音の話をしていくつもり」と住民負担増について理解を求めていく。
 2000年度決算で地方交付税の依存度は陸別町の62・9%を筆頭に5割超の自治体は11。収入の柱を直撃された市町村は、行政サービスの見直しを余儀なくされている。(井上猛)(02.3.27)

<地方交付税>
 全国の自治体が行政サービスを実施するための経費を算出し、市町村民税など地方税、補助金、借金でも補えない部分を穴埋めするための財源。国税5税の一定割合を財源とし、国の一般会計からの加算、交付税特別会計の借り入れで、2002年度は総額19兆5499億円。前年度比4・0%、8049億円のマイナス。しかし臨時財政対策債(市町村が発行する起債、100%交付税措置)を含めると、22兆7710億円と4・5%増。交付税額を維持するため、交付税特別会計の借入金残高は46兆1000億円に膨らむ見通し。2000年度には道路投資に関係する北海道特例が廃止。02年度から小規模自治体への傾斜配分、段階補正も段階的に廃止される。


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 構造改革の地域経済、地方財政に与える影響が、十勝にも目に見える形で表れ始めた。地方交付税の削減や公共事業のカットなどは、地方自治体や住民に変革を迫る。どのような課題が浮き彫りとなってきたか、現状と対応を5回にわたって追う。


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