広がる川の仲間たち(5)

住民参加と教育柱に活動


★多摩川センター(上)★

全国屈指の河川美化運動

「多摩川の取り組みの特色は“パートナーシップ”。河川整備をめぐっては、行政と住民が対立している例は少なくない。私たちは行政と住民が協調した、いい川づくりの先導的な役割を担ってきたと自負している」。東京都国分寺市に事務所を置く「多摩川センター」の横山十四男代表(74)はこう言って、胸を張った。
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多摩川中流域の是政橋付近。コイやアユが生息しているため、釣り人が年中訪れる

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山梨県笠取山から東京湾まで138キロを流れる多摩川。同センターは一九九四年七月、多摩地区の東京移管百周年記念事業(TAMAらいふ21)のテーマプログラム「多摩川の復権」を担当した住民研究会が提案、設立された。多摩川をよりよい川にするための情報収集・発信を行っているほか、住民と行政の交流の場にもなっている。“住民による住民のための多摩川”が合言葉だ。

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設立当初から続けているのが、河川の一斉清掃活動「多摩川クリーンエイド」。多摩川流域には河川敷グラウンド、サイクリングロードなど、市民の憩いの場がたくさんある。十二月末でもサイクリング、ジョギング、魚釣りを楽しむ人は多い。ただ、川を訪れる人が増えるにつれ、投げ捨てられる大量のごみには悩まされてきた。
「自治体まかせではなく、自分たちの手できれいにしようとする意識が大切。河川清掃に参加することで、川への理解や愛情を深める契機になれば」と、横山代表。クリーンエイドでは毎年四月下旬の一日をメーンデーとして定め、河川周辺の散乱ごみの清掃・調査を行っている。また調査結果は冊子にまとめ、啓発用として関係団体に配布している。
多摩川流域には「多摩川を美しくする会」といった団体が幾つも点在し、長年にわたって独自に清掃活動を続けてきた。クリーンエイドは流域の団体、住民をひとつにまとめ、一昨年には実に二十市町区から六万二千人が参加した。全国でも屈指の河川美化運動として注目を集めた。
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長年、多摩川にかかわっている横山代表の川への愛着は人一倍だ

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センターでは、川づくりを次世代に受け継ぐための「教育」にも力を入れている。自主事業の「多摩川学校」(川にかかわる活動のリーダーを育成するリバースクール)、受託事業として「多摩川ふれあい教室」(小学生を対象にした河原での自然学習事業)をそれぞれ開催。子供たちが、環境問題を身近なものとして感じる場になっている。
「今の教育に求められているのは“ドゥーイング・ラーニング”。つまり一緒に汗を流して学ぶこと。子供も大人も、住民ひとりひとりが自らの手でデータを集め話し合えば、環境問題の深刻さに気づくはずだ」と横山代表は語る。
「ともに参加し、ともに学ぶ」。同センターでは今後も、住民参加と教育を柱にした事業活動を展開することにしている。時代や世代を超えて“いい川づくり”のネットワークが広がることを期待しながら。
(年間キャンペーン取材班=池田有紀)(00.1.7)



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