広がる川の仲間たち(3)

住民と川の関係を復縁 


★水環境北海道(下)★

多彩な活動、着実に成果

「川には、すべての流域住民の生活が関係している。多くの人に川の大切さを肌で感じてもらう」という考えから、水環境北海道は、様々なイベントを実施している。久しく途切れていた住民と川との関係の復縁だ。

■−−−−−−□

昨年10月に初めて実施した「石狩川流域交流フェスタ」は、石狩川、その支流の夕張川、千歳川の流域住民の交流行事。ボートで川下りを楽しみながら江別市に集まった参加者は「川の大きさを感じた」「川岸からの景観と違いとても良かった」と、川面から見上げる岸辺の景観に新鮮な感動を覚えた。
一九九七年から始めた千歳川を舞台にした「かわ塾」は、教育的な役割を持つ。中学生以上が参加し、2泊3日でバスとカヌーで千歳川を移動しながら水生昆虫観察、水質や樹木調査のほか、人工呼吸、ライフジャケット遊泳、川下り、川底のごみ拾いなどを行う。
講師陣もカヌーの元五輪コーチ、レスキュー専門の自衛隊員ら多士済々で、塾長の若濱五郎さんは、北大名誉教授で氷雪学の専門家。「水に入った子供は、実に生き生きしている。普段、危険だといって川で遊ばせないためでは。命は、自分で守ることを学ばせたい」と若濱塾長は力説する。
ペットボトルの再生布でつくったEボート大会、秋にそ上するサケのための清掃活動「ウエルカムサーモン・クリーンリバー千歳川」と多彩だ。

■−−−−−−□

こうした活動は、着実に成果を上げている。例えば、恵庭市が昨年九月に施行した水道水源保全条例がそれだ。水道水を取水している漁川流域の開発を想定し、ゴルフ場とごみの埋め立て処理場が設けられた場合の排水規制を盛り込み、下流で取水している空知管内南幌町、江別市に配慮した。「上流は、下流に責任を持つという意識が行政側にも芽生えてきた」と専務の荒関岩雄さんは話す。
また、水環境北海道の取り組みは道内各地にも波及している。後志管内ニセコ町で開かれた水環境シンポジウムをきっかけに尻別川の流域七町村の住民が96年11月に結成した「しりべつリバーネット」では、尻別川で川下りのラフティングと釣り人が共存するためのルールづくりを進めている。
運営委員の片山健也さんは「行政主導でやると、公平感などを重んじるあまり、合意に手間取る」とし、流域住民の主体的な取り組みが地域を変える力になることを強調した。

■−−−−−−□

さらに、水環境北海道は石狩川振興財団が道開発局からの委託調査で昨年度設けた石狩川舟運構想検討委員会に参画し、石狩川に観光や非常時の輸送などを念頭にした舟運の可能性も探っている。
財団専務で水環境北海道理事の金子正之さん(元帯広開発建設部部長)は「実現には課題もあるが、川はだれにも身近で、意義ある事業」と話す。
環境保全、教育、やすらぎ、産業…と水環境北海道の川の活動は、人々が忘れてしまった川の豊かさを取り戻し、成熟社会の生き方を示す試みにも見えた。
(年間キャンペーン取材班=平野明)(00.1.5)



12|3|45678INDEX