環境と調和する川づくり(6)

水源池保全で道路工法変更へ


★四線川(第二柏林台川)★

対応評価も残る課題

「水源池にたまたま足を運んだら工事で埋められる話を聞き、驚いた。すぐ予備調査に入った」。帯広の森を流れる「四線川」(途中から第二柏林台川)の水源池の保全運動に取り組んでいる市民団体「川と河畔林を考える会」(会長・堀浩二帯広畜産大学名誉教授)の事務局長高倉祐一さん(52)は、昨年九月に発足した会のいきさつをこう説明した。

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四線川水源池。早苗さんは1980年に水源池を含む用地を取得し、水源池を大切にしてきた
水源池は、芽室町北伏古一四線にあり、一九九五年に着工した高規格道路「帯広・広尾自動車道」のルートにかかる。約一ヘクタールに大小十三の湧水(ゆうすい)池が点在、ニホンザリガニなど貴重な動植物を残しているが、高倉さんらが昨年七月に見た時には、水源池の森両側に工事の土盛りが迫り、埋め立て寸前だった。
芽室は、アイヌ語の「メムオロベツ」で泉や池から流れてくる川の意味。四線川の水源池一帯もかつては湿地帯だったが、農地開発で乾燥化、開発から取り残されたのが幸いし、水源池周辺がオアシスのように原始の自然をとどめてきた。


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会から水源池保全の申し入れを受けた帯広開発建設部は、急きょ自然環境調査に着手し、今年四月下旬に工法の修正案を示した。
水源池と交差する道路の土台部分に高さ四メートル、幅十メートルの空間を開け、湧水池を保全するボックスカルバート工法で、土盛りも水源池との交差部分は垂直よう壁に改め、水源池の消失を抑える。さらに水源池の一部が埋め立てられるため代替池も設ける。
会は、近く帯広開建から示される自然環境調査の最終結果を受け、修正案の考えを回答する。内部に「ルート変更を」「橋を設けれないか」といった要望はあるが、工事直前の見直しだけに会では、修正案受け入れに傾いている。堀会長は、帯広開建の素早い対応に「会の申し入れを無視せずに聞いてくれたことを評価したい」と話す。
ただ、帯広開建の対応に疑問も残った。というのは、昨年七月まで道路用地を含む水源池を所有していた農業、早苗利喜夫さん(79)から保全を求める要望書が九六年に芽室町を通じ、帯広開建に出されていたからだ。「早めに対応すれば、より確実な保全ができたはず」との思いが残る。
帯広開建は「用地買収には、地権者の思惑などが絡むため、個々の要望に応じ切れない」(道路課)と釈明。会では「今と比べ、河川環境への配慮や意識が低かったため」との見方を示し、買収に応じた早苗さんは「個人の声を行政へ反映させるのは難しい」と話した。

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さらに四線川のような普通河川の管理問題も浮上した。河川法では、一級河川は国、二級河川は都道府県が管理するが、河川法対象外の普通河川は、四月から地方分権一括法で市町村が財産管理も含め一括管理する直轄河川となった。
管内市町村で環境保全の独立した部署を設けているのは帯広市ぐらいで、他の町村は、農林などの課に置かれ、十分な体制とは言いがたい。
会との話し合いを持った芽室町は、四線川の環境調査の結果によっては、残りの水源池について保全策を検討する意向を示しているが、「直轄河川は七十九河川に上り、環境保全の新たな支出などは難しい」(建設部)と述べる。
河川は、流域一帯で生態系を形成するため、小河川、源流がクローズアップされかねない。高倉さんは「行政の担当者は、ぜひ現地へ足を運んでほしい」と期待している。
(年間キャンペーン取材班=平野明) (00.10.27)



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