環境と調和する川づくり(4)

住民1人のごみ拾いが原点


★ヌップク川 (上)★

活発な保全や親水活動

コンクリート護岸のない昔ながらの姿を今に残す帯広市大正町の札内川支流ヌップク川。この延長約十七キロ、幅約十メートルの小河川は、地域自らが十四年前に立ち上げた組織「ヌップク川をきれいにする会」により、保全や親水活動が活発に展開されている。そのきっかけは、住民がたった一人で始めたごみ拾いだった。

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帯広市内でも貴重な自然を有するヌップク川。保全活動を展開する「きれいにする会」設立のきっかけは芹沢さんが始めたごみ拾いだった
「私が町に来た当時(一九八一年)のヌップク川は豊かな自然環境を有しながら、その実情は巨大なごみ箱状態。『川をきれいに』という看板自体が皮肉にも水中に沈んでいるほどだったから…。きれいな川に戻したい。ただその思いに駆り立てられた」。同会会長でごみ拾いを始めたテンガロンハットがトレードマークの芹沢忍さん(58)は当時を振り返る。
清掃活動を始めてすぐ、同調して活動をともにする仲間、現副会長の類家惇夫さん(57)が現れた。「二人で何カ月も自分の仕事を放り出して清掃に明け暮れた」(芹沢さん)。川からは空き缶から漬物だる、古タイヤ、さらには自転車までもがすくい上げられた。


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九〇年ごろには、きれいになったヌップク川の景観を売りにした宅地分譲が行われるようになり、地域には管内から道外に至るまで多種多様な住民が移住。そんな中、九四年には川をめぐり新たな問題が出てきた。水産庁さけ・ますふ化場十勝支場(現さけ・ます資源管理センター十勝支所)のふ化事業部門移転による、取水用えん堤の撤去だ。
「すでに施設一体の生態系が形成されて撤去による影響は明白だった」と、事務局長の白田正樹さん(38)。環境保全に向けた要請運動が始まった。中心となったのは、環境にひかれて移住してきた“新大正町民”たち。河川管理者の帯広土木現業所、市、同支場と幾度もの協議を重ねた結果、えん堤は保存されることになった。

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道と管理に関する協定書を締結した市では、実際の管理を地域に要請。これに対して保存に動いた住民の間では、組織化の話も出た。しかし「(きれいにする会という)既存組織があるのなら合流して取り組もうという話になった」と白田さんは説明する。
かくして、活動の停滞していた「きれいにする会」は、新たな活力を注入されて生まれ変わった。設立して約十年。清掃から始まった活動は、森を育て川を守るという新たなステップへと動き出した。
(年間キャンペーン取材班=森田匡彦) (00.10.23)



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