広がる川の仲間たち(2)

川づくりで共通の土俵を 


★水環境北海道(上)★

「流域環境管理」を提案

「川は流域を映す鏡。最終的には、大量に消費、廃棄する生活を改め、豊かに生きるルールを自分たちがつくること」―。昨年四月、河川関係では全国で初めてNPO(特定非営利活動)法人の認証を得た「水環境北海道」(事務局札幌市、理事長・佐伯昇北大教授)の専務理事、荒関岩雄さん(51)は、川を通して戦後の日本人の生活やライフスタイルの在り方を鋭く問い掛けた。

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「川を守るのは自分たちの生活を見直すこと」と述べる荒関さん
川は、人々の生活に古くからかかわってきた。ところが上水道の整備が進み、コンクリートとアスファルトが文明の象徴になった戦後は、川は直線化され、護岸は固められた。蛇口をひねると水が出る便利な生活―。だが、水生昆虫や魚、川遊びの子供は姿を消し、蛇口の向こうにある川を考えなくなった。便利さや快適さの実態は何だったのか?
公害がひどかった昭和四十年代後半、横浜の大学で土木を学びながら衛生工学研究会でサークル活動をしていた荒関さんは、「皆が水をくむ生活だったらどうですか。川を汚さない。見えないことが一番、怖い。水俣病だって見えないところで起きた。見えなければ、罪の意識すらない。それだけ罪深い」と川とのつながりの大切さを説く。

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水環境北海道は、一九九三年に結成された「全国水環境交流会IN北海道」が前身。交流会の発足の契機は、荒関さんが、本道代表の設立準備人を務め、同年に設立された「全国水環境交流会」(本部東京)で、交流会は荒関さんが事務局長となり、全国の団体と交流しながら運動を進めてきた。
全国交流会の発足は(1)河川にかかわる省庁の縦割り行政(2)自然保護団体と行政の対立ーの中で「川づくりで共通土俵をつくる必要があった」(荒関さん)ためだ。
恵庭市道路河川課長の荒関さんも行政に身を置きながら川にかかわってきた一人だが、河川流域となると建設、農水、通産、自治の各省庁の権限がからみ、「水をトータルで考える学問や視点がなかった」と指摘する。
縦割り行政の弊害は、交流会が九三年から毎年、実施している水環境シンポジウムでも論議を呼んできた。上流の農地開発とサケの産卵床、森林伐採と河口沿岸の水産資源の関係がそうで、道東で問題となっている家畜ふん尿による河川の汚濁問題にも通じる。
さらに自然は無尽蔵というかつての前提が崩れ、河川の管理目的が治水利水だけでは収まらなくなってきた時代背景もある。

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荒関さんは「生きていくには自然に負荷をかけねばならない産業もある。流域のさまざまな問題や利害関係を組み込んで是正する方法を考えることが重要」と新たな時代に向けて「流域環境管理」の必要を提案する。
ただ、川は複数の市町村にまたがり、多数の流域住民がかかわり、行政だけの力では限界がある。「行政はあくまでも法に従ってやる能力しかない。川に対する感性や専門知識は市民や研究者によらねばならない」(荒関さん)。産・学・官・民の交流基盤となるNPOの役割が出てくる。
(年間キャンペーン取材班=平野明)(00.1.4)



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