川と共生する農業(4)

村一丸で「還元」目指す


★更別の取り組み★

施設整備も「受け皿」課題

全農家戸数・276戸のうち、搾乳農家(10頭以上)が77戸を占める更別村。畑作と畜産の割合が3対1で「バランスがよい」とされる同村も、家畜ふん尿対策は悩みの種だ。村やJAなどで組織する農業構造政策推進会議は昨年、「家畜排せつ物法」に関する対策プロジェクトを立ち上げ、実態把握に乗り出している。
プロジェクトではまず、畜産農家に対する意識調査を実施した。石川末信座長(JAさらべつ酪農部長)は、調査結果から一定の安ど感を覚えた。「施設基準の基本であるたい肥盤に関しては全戸で整備済みだった」というのだ。しかし、屋根付き施設を整備したのは12戸にとどまっているのも実態だった。

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村内協和地区で「スタートランドファーム」を経営する酪農家の出嶋辰三さん(41)は、その中でもいち早く、屋根付き施設に切り替えた一人だ。鉄骨造約290平方メートルの施設は、法が施行される前の1998年10月に完成している。
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家畜排せつ物法の施行前に整備した屋根付きたい肥舎とオーナーの出嶋さん
「出費が痛くなかったといえばうそになるが、決して無駄な投資だとは思わない」と出嶋さん。「台風などでひどい大雨が降ると流出を防ぎきれないこともあり、水質汚濁など生活環境面への影響が心配だった」と語る。
しかし問題は、施設は適正保管を促しても、たい肥の利用促進に直結しないことだった。乳牛のふん尿は水分比率が高く、そのまま畑に散布されるケースはない。十分に切り返せば良質たい肥を作れるが、「大規模化の中でそんな手間はかけられない」というのが、出嶋さんら酪農家の共通した“ぼやき”だ。

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村内で家畜ふん尿の「受け皿」として期待されているのが、JAの集中管理型たい肥熟成施設(北1線60)。熟成盤面積・約49,000平方メートルの同施設は道内トップクラスの規模を誇る。昨年から道営補助事業を導入し、約13億円をかけた大がかりな拡張工事(2002年度完成予定)に着手した。ただ、畑作農家が求めるたい肥作りが前提にあり、乳牛ふん尿の受け入れがほとんどできないのも現状だという。
JAでは関係機関に呼びかけ、今年2月、新たに「たい肥熟成施設運営プロジェクト」(若園栄一会長)を設立した。農業残さ物の適正たい肥化を地域一元化して進めるのが狙い。美濃羊輔・前帯広畜産大教授をアドバイザーとして迎え、固液分離技術の導入などの研究を進めている。
事務局を担当するJA営農部の安村敏博部長は「今後1年間のうちに形にしたい」と強調。一方で「すべての有機物は農地に還元するのではなく、いろいろな所に幅広く循環させる機運の高まりも必要ではないか」と話す。村ぐるみの試行錯誤は始まったばかりだ。(年間キャンペーン取材班) (00.4.10)



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