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【十勝へのメッセージ-企業トップに聞く-】日本食農連携機構 増田陸奥夫理事長

  • 2017年6月6日 13時15分



食と農のプラットホーム
情報共有を促進

 一般社団法人日本食農連携機構(東京)は農業と食、農業者と加工・販売業先との連携や付加価値創出に積極的に取り組んでいる。2015年に道中小企業家同友会とかち支部農業経営部会と連携協定を締結し、今年7月には首都圏以外で初となるアグリビジネス研究会を管内で開催する。十勝の農業者との交流も深い増田陸奥夫理事長(72)に、これからの農業経営や十勝農業への提言を聞いた。

<ますだ・むつお>
 1944年東京都出身。早稲田大学卒。69年に農林中央金庫入りし、代表理事副理事長などを歴任し、機構設立とともに理事長就任。熊本県フードバレーアグリビジネスセンターシニアアドバイザー。理事長就任後十勝には30回ほど訪れ地元農業者とも関係が深い。

十勝から消費者へ 流通コスト対応急務
7月十勝で研究会

 -改めて、自ら立ち上げた機構への思いを。
 原価計算して収益を予測し、経営計画を立て進めるのが経営の原点。しかし、これまで農業者の多くは、自分が生産した農産物の損益分岐点などを考えもしなかった。農水産物を買う側のスーパーやメーカーなどの企業側も生産者の情報を求める一方、互いに隔たりがあった。需給双方が互いを理解しないままではなく、「共通言語」で議論し連携できる場を、と設立した。

 組織体のイメージは、農業者や農業法人、食品、流通・卸業者、資材や商社、観光などの関連業界などが一堂に会するプラットホーム。「食と農」をキーワードに、さまざまな人が情報を持ち寄り、連携や販路拡大、商品・サービスの開発などにつなげる。年5回ほどの研究会を通じて、新たな人脈が生まれ、ビジネスに発展している。

 -道中小企業家同友会とかち支部農業経営部会との連携の経緯と成果は。
 13年に開かれた部会25周年記念の「“食と農”連携グループ全国交流会」に私が出席した縁で、その後十勝でも役員同士が会った。日本の食料基地・十勝の農業者と機構が手を結ぼうと協定を締結した。十勝の農畜産物の継続的な取引に向けた仲介や農業ビジネス支援、コーディネートで支援する。

 締結から2年が経過し、関西方面の大手スーパーのバイヤーの農場視察や懇談会につながった。具体的な商談と取引に至ったケースもある。7月の研究会はメーカーや流通業者、有識者など約50人が参加する予定で、十勝農業のレベルの高さと底堅さを学び、生産者との交流で新たな化学反応が生まれれば。

道中小企業家同友会とかち支部農業経営部会との連携協定書調印式(2015年4月)

世界市場にも目を
 -現在の農業の課題と可能性をどう捉えるか。合わせて十勝農業の展望と提言も。
 十勝の農業者は問題意識が高く新しい試みにも積極的に感じる。一方、フードバレーとかち構想を生かすには「出口」である消費者への戦略やアピールが必要になる。北海道という地理的状況下では、まず、流通コストへの対応が急務だ。同じく大消費地の首都圏から離れた九州では、長距離輸送が可能な長期低温貯蔵に取り組んでいる。検討の価値があるのでは。

 TPP(環太平洋連携協定)の行方は不透明だが、世界市場から目を背けてはならないと考える。かつてのGATT(関税貿易一般協定)ウルグアイ・ラウンドで、国産牛肉が消えるのではと危惧されたが、全国各地でブランド牛が次々と誕生し、世界の「WAGYU」になったのは周知の事実だ。群馬県のコンニャクをフランス料理に売り込むなど、規模にかかわらず国際市場に打って出る農業者も続々と現れている。

 当然、農業生産工程管理「GAP(ギャップ)」への対応など国際市場を見据えた動きを、組織的、地域一丸で取り組む必要がある。十勝にはその素地と潜在能力があると考える。7月の研究会を契機に、今後も十勝が潜在能力を発揮できるお手伝いをしたい。
(聞き手・東京支社次長林真由)

<日本食農連携機構>
 農業者の販路拡大や商取引などを支援する組織として、2007年に農業経営サポート研究会として設立、09年に一般社団法人化し現組織名に。食品メーカーやスーパーなどの小売業者、農業者など約170の会員が加入する。九州、東北に支部がある。

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