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【TPP漂流~識者に聞く】(2)農業「東大大学院教授 本間正義氏」

  • 2017年1月24日 14時17分

<ほんま・まさよし>
 1951年山形県生まれ。74年帯広畜産大卒、76年東大大学院修士課程修了。82年アイオワ州立大大学院博士課程修了。小樽商大、成蹊大教授などを経て2003年から東大大学院農学生命科学研究科教授。著書に「農業問題-TPP後、農政はこう変わる」など。

米国の利害示し毅然と
 まずTPP(環太平洋連携協定)「離脱」という表現は正確ではない。離脱とは発効された協定からするもので、米国は議会提案せずに「ペンディング(保留)」の状態。しかし現実的には棚上げのまま凍結され、TPPが合意内容で発効されることはほぼないだろう。

日本有利に再編
 TPP推進の日本としては、選択肢の一つが米国抜きのTPP参加国で新たな交渉をすること。個人的には「TPP11」のような枠組みで、米国がごり押しした内容は取り払い、日本に有利な交渉をすべき。途上国にとっては米国抜きは魅力がないので実際は困難だろうが、TPPでは「米国VS他国」の構図があったので望ましい。

 牛肉の関税で言えばTPPで9%に下がるものが、米国相手には現在の38.5%を維持できる。米国の農業団体は黙ってはおらず、プレッシャーをかけられる。

 トランプ氏は貿易を閉ざすのではなく、「いいところ取り」したいと考えている。米国に都合のいい2国間FTA(自由貿易協定)の推進は大いにあり得る。TPPで日本は、日豪EPA(経済連携協定)より開放して譲歩したが、それでも米国は不満で牛肉や豚肉などで市場を開けろと求めるはず。「TPP11」の存在は、その対抗になるが、安倍政権は国会承認しており、米国を説得するスタンスは続けるだろう。それを続けると限りなく2国間交渉に入っていく可能性が高い。

 TPPが望ましいのは、ギブ・アンド・テークで、ある程度妥協しながらウィン・ウィン(相互利益)の方向を目指すところ。それをトランプは「ちゃぶ台返し」をした。2国間交渉で俺が“果実”を取ると豪語しても、国内向けの発言であり、対外的に通用するとは誰も思っていない。国際的には米国の弱体化が分かった。思い通りに交渉はうまく進まないだろう。日本は毅然とした態度で、建前では翻意の説得を続けながら、彼が利害で動くならこちらも利害で攻めるべき。米国にとってTPPは望ましくて、棚上げがいかに不利益かを示していくことだ。

道内に対策集中
 WTO(世界貿易機関)が発足した段階で世界の貿易は変わった。国際的な流れを見て、対抗する国内の農業構造をつくり、完全自由化に整合した農業政策を打たなければいけない。

 北海道ほど農業生産に比較優位を持つ地域はない。ただ規制を含めて北海道も本州も全国一律の位置付けなので、農業が駄目になるときは専業が多い北海道が真っ先に地盤沈下するとされる。さまざまな農作物や食料基地が北海道に集中するような政策と戦略が、グローバル対策の基本だと思う。十勝や北海道の農家が「日本の食料は任せろ」と言うぐらいの意気込みでないと、北海道は生き残れない。
(安田義教)

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