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【十勝へのメッセージ-企業トップに聞く-】JA北海道中央会 飛田稔章会長

  • 2017年1月1日 9時00分



食の大切さ訴える
農業と地域が強く結び付くことが北海道の発展に

 2017年は十勝農業の飛躍の年に-。約3000億円の取扱高を誇る十勝農業は昨夏の台風大雨災害で大きな影響を受けた。しかし、先人から受け継いだ農業の歴史は、数々の苦難を乗り越えた発展の歴史でもある。今年はどのような意欲で農業復興に望むべきか。JA北海道中央会の飛田稔章会長=JA幕別町会長=に聞いた。
(聞き手・道下恵次)

<とびた・としあき>
 1947年幕別町生まれ。帯広農業高校卒。98年JA幕別町代表理事組合長、2002年十勝地区農協組合長会副会長、05年JA北海道中央会副会長、08年からJA北海道中央会会長を務め、3期目。

災害克服へ新たな感覚
 -昨年は道内全体が豪雨被害に見舞われた。農家の営農意欲の向上にどのように取り組むか。
 一昨年は北海道農業にとって良い年だったが、昨年は思いもよらない被害が発生した。今年はそれをどう乗り越え、新たな感覚を持って農業経営に従事していくかが大きなポイントだ。将来展望に立った農業をつくり上げる上で、被災した十勝は北海道の中でも非常に大きな存在となる。十勝は一昨年の農業生産額が約3500億円に達した。これを目標に、今年も大豊作を望む強い営農意欲を持つことが重要だと思っている。

 -JAグループ北海道は一昨年から、所得増大と担い手倍増を基本目標に掲げて取り組んでいる。目標達成に向けた今年の取り組みは。
 北海道農業は専業農家が75%、十勝はほぼ全戸が専業農家だ。まずは生活を支えるために所得を確保することが大切であり、農業所得20%増に向けてさまざまな支援をしていきたい。道民550万人のサポーターづくりにも取り組む。地域の方々に「食」の大切さを認識してもらい、農業と地域が強く結び付くということが、今後の北海道の充実、発展につながる。JAグループ北海道全体の取り組みとして講じ、農業者がそうしたことに向き合いながら、持続可能な農業をしっかりつくり上げるという基本姿勢に立って農協の自己改革にも取り組みたい。

2016年は過去2番目のJA取扱高を記録した十勝農業。災害や制度変更にも見舞われた

国民の生活守る地産地消
 -環太平洋連携協定(TPP)を背景に、農業の国際競争力が求められる時代になった。将来像をどうとらえるか。
 TPPは関税を下げることから、農業者にとっては痛手があるということをこれまでも訴えてきた。(米国が離脱する中で)TPPは今後の推移を見守りたい。一方で、グローバル化が進む中、国内自給率を上げるために北海道農業がどれだけの責任を果たすかという視点が非常に大事だ。国際的な競争力(安価な外国産との競争)という、国内農業にとっては難しい課題となるが、われわれとしては国民に食料の大切さを訴え、国民の命や生活を守るという視点で地産地消(国内消費)を実践していきたい。この責任を果たすことがJAグループ北海道としての大きな仕事だろうと思っている。

 -特に十勝は食料供給基地としての重要な役割がある。今後もその役割は変わらないと思うが。
 十勝には独特の気候風土、人間性を含めた素晴らしい面がある。農業中心の地域であり、地域を支えていくという大きな目標をかなえつつ、農業を営んでいってもらいたい。北海道における十勝は重要な位置にある。

 -昨年は台風の大雨による災害があった。十勝はどのような視点で復興に取り組むべきか。
 まずは「離農者を出さない」ということだ。災害によって営農意欲を失ってしまう農業者を一人も出さない、農業の担い手が意欲を失わないよう、一日も早い復興に向けて取り組んでいきたい。畑作、野菜に災害の影響が残るが、態勢をどのように構築するかがわれわれの課題。2年続けて災害の影響がないようにしっかり取り組む。担い手が育つ北海道農業にしていきたい。

台風による水害が発生した札内川(下)と戸蔦別川(右上)に挟まれた三角地帯。周辺の畑も被害を受けた

リードする十勝を後押し
 -国が進める農業改革については。
 規制改革会議からは「全農改革」「JAの信用事業譲渡」「組合員勘定の廃止」などが提言されたが、現場実態を踏まえない提言に対してはわれわれの考えや思いを強く伝えていく。

 問題は指定生乳生産者団体制度だが、これをしっかり堅持することが大事だ。一元集荷、多元販売という指定団体の制度は飲用や加工などをしっかり振り分けて消費者に届けるという重要な機能を持っている。この機能をどんなことがあっても守っていくという姿勢は変わらない。

 -十勝に向けて新年のメッセージを。
 全道をリードする十勝農業が躍進することによって北海道農業の将来的な道筋ができる。JAグループ北海道としてもしっかり後押ししていきたい。

■JA北海道の目標
所得を20%増

 2015年11月に開いたJA北海道大会で基本目標を設定。「農業所得20%増大」と「新規担い手倍増」を掲げた。組合員は効率的な経営改善、省力・低コスト生産技術の導入に取り組み、JAは資材コストの低減や安価供給、経営改善支援などを推進する。担い手育成についてもJAが目標を設定し、農業の魅力を発信するとともに、地域での研修や就農システムを策定する。

■国際競争力と地産地消
輸出千億円に

 道の「食の輸出拡大戦略の目標」では2030年に1000億円を目指す。このうち農畜産物・農畜産加工品は100億円で、北海道は国際社会と競争する「攻めの農業」が求められる。一方で食料自給率の向上を目指すとともに、安価な外国産に打ち勝つ安全安心な国内産の価値をどう高めていくか、まさに「守りの農業」も大きな柱となる。飛田会長は特に、国内消費の向上、強化を訴えている。

■指定生乳生産者団体制度
生乳出荷の自由化に道

 指定団体は全国に10カ所、道内はホクレンが指定を受けている。指定団体のホクレンが生乳共販を行うことで集送乳や需給調整、メーカーとの取引交渉を担う。昨年の国の規制改革会議では、同制度の廃止が提言された。また、自民党の農業改革案では、酪農家が生乳の販売先を自由に選べるよう、条件を満たせば指定団体を通さなくても、加工用の出荷時に国の補助金が受けられる仕組みの導入を盛り込んだ。

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