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【TPP~戦えるのか十勝~政策大綱決定】(下)声を反映 酪畜制度

  • 2015年11月28日 13時53分

「使い勝手」注視
 「(肉牛生産者の赤字の)補填(ほてん)率が8割から9割に上がり、法制化されることは、今までに比べ助かる。食料自給率を下げてはいけないという思いが感じられ、その点で(訴えてきたことが)一定の理解を得られた」

◇法制化歓迎消費者理解を
 士幌町で乳用種雄の肉牛を生産する鎌田尚吾さん(44)は、政府のTPP関連対策大綱をこう評価する。詳細は不明点も多いが、「法制化で(これまでに比べ)融通が利かなくなるのは困るので、使い勝手の良い制度を」と求めつつ、「生産者も消費者の理解を得られるよう努力が必要になってくる」と前を向く。

 酪農では生クリームを加工原料乳生産者補給金の対象に追加し、補給金単価を一本化する方向性が示された。補給金は飲用向けより低価格の加工乳の生産を支援するため、生産者に交付される。道内の生乳価格は飲用向け117円40銭、チーズ向け68円、バターや脱脂粉乳など74円46銭、生クリーム81円50銭と、用途別で大きな差がある。

 酪農家からは「生乳に色が付いている訳でもないのに価格が違うのはなぜか」と疑問が多かった。自らも酪農家のJA豊頃町の山口良一組合長は「生クリーム向けが対象になったのはありがたい」としながらも、「採算割れしているチーズ向けの補給金上乗せが必要。飼料や資材の高騰に合わせ、機敏に対応できる制度に法制化を」と求める。

 財源については「関税収入は減るが、全体としてTPPは国益にかなうと(政府が)言うのだから、減る以上に他で税収は上がるはず」と主張する。

◇将来の影響見極めきれず
 幕別町忠類で酪農を営む山田学さん(64)も「(大綱で)言っていることは良いこと。ただ、実際にTPPの影響が出るのは6、7年後。10年前を思い起こすと(生乳が余って廃棄した)生産調整があった。今、(政策に乗って)設備投資をしても大丈夫なのか心配だ」と長期的視野に立った対策を求める。

 大綱では、攻めの農林水産業への転換の一環として、輸出増を掲げる。十勝ではこれをチャンスと捉える事業者も。肉牛生産・販売を手掛ける「ノベルズ」(上士幌町)のグループ会社ノベルズ食品の西尾康宏社長は「輸出に弾みがつく」と歓迎する。

 同社はTPP大筋合意前から海外輸出の準備を進め、9月に初めて自社の「十勝ハーブ牛」をベトナムに輸出。品質と安さを売りにオーストラリア産和牛を脅かす存在として着実にシェアを広げる。

 西尾社長は輸出に関して「当初、ハードルが高いと思っていたが、1つずつ細かい部分を自前でクリアすれば輸送コストを減らせた。国内で販売するのと大差はない」と話す。今後はシンガポールやミャンマーへの輸出も視野に入れ、「新興国に輸出対応できる環境が整い次第、すぐに乗り出したい。その際に国から何らかの支援を受けられれば」と期待する。

 「守り」も「攻め」も大綱ではまだ看板が掲げられたばかり。実効性ある対策となるのか、十勝の生産者は注目している。
(おわり、眞尾敦、津田恭平、小縣大輝)

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