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【TPP~戦えるのか十勝】(5)消費者とのつながり

  • 2015年11月9日 14時23分

小麦ヌーヴォーで十勝の畑を訪れた全国のパン職人。産地と消費地を結ぶ取り組みが進む(7月)

生産の思い 直接伝える
 「TPP(環太平洋連携協定)交渉は合意すると思って取り組んできた。消費者とつながることで、持続可能な生産を目指してきた。TPPは古い経済。対抗するのではなく、新たな市場経済をつくりたい」

新たな市場経済
◇国産への注目

 今年取れたばかりの新小麦でパン店がパンを作る「とかち小麦ヌーヴォー」は2年目を迎え、全国約330店が参加した。生産者やパン店と連携して主催する農産物卸のアグリシステム(芽室町)の伊藤英拓専務(33)は、取り組みの意図をこう話す。

 伊藤専務が言う「古い経済」とは、農業では遺伝子組み換え作物や農薬・化学肥料への過度な依存など、大量生産・消費を軸としたもの。一方、産地と消費地を結び付けるヌーヴォーが目指すのは、消費者、生産者、流通が互いを思い合う「尊重あるつながり」(伊藤専務)だ。

 消費者にどの程度産地の思いが伝わっているかは未知数だが、消費者とつながることで産地に変化が起きつつある。パン店の要望で、農家が一度は生産が途絶えた小麦品種を復活。「よいものを届けたい」と、化学肥料の使用を減らす工夫をする農家もいた。

 今年は新宿高島屋が、9月の催事でヌーヴォーパンを販売。大手メディアに取り上げられ、長い行列ができるほどの人気だった。同店の広報担当者は「有名店の職人が国産小麦を使うようになり、注目が高まっている。安全・安心を求める百貨店のお客さまのニーズに合った」とみる。その上で「小麦の自給率が1割しかないとは知らなかった。百貨店の役割として現状を伝えたい」と取り組みの趣旨に共感する。

 TPPの関税削減で危機に立たされる小麦や牛肉だが、近年は国産への注目が高まっている。帯広にも店舗があるうどん店「丸亀製麺」、中華料理「餃子の王将」、サンドイッチ「サブウェイ」など、多くの人が知る全国チェーンの企業が国産小麦を使い始めた。国産牛肉も脂肪の少ない赤身肉や長期間寝かせた熟成肉の流行で注目され、JA十勝清水町の「十勝若牛」などは品薄になるほどだ。

まずは地元から
◇全国画一脱す

 十勝の消費者からも国産を望む声は多い。2人の子供を持つ市内のパート従業員高橋絵里さん(33)は「子供のことを考えても、野菜や肉は少し高いぐらいなら海外産より国産を選ぶ。十勝産であればなおさら」と話す。同市内の主婦山崎芳美さん(50)も「国産をなるべく選ぶ」という。

 一方で2人は「外国産と国内産の牛肉の(具体的な)違いは正直分からない」と口をそろえる。「(国産を選ぶのは)安全だと思うからだが、『なんとなく』の部分も多い」という。「船での輸送時にポストハーベスト農薬を使っていない」「家畜にホルモン剤を使っていない」「産地や生産者の顔が見える」など国産の利点はあるが、消費者には十分伝わっていない面もある。

 TPPでは関税が下がって輸入食品が安くなるという報道も目立つ。一方で、地産地消を進めるコープさっぽろの中島則裕専務は「流通業界のMD(マーチャンダイジング、商品化政策)は、全国画一でなく、地域に合わせて差別化する流れになっている。ヨーロッパでは食育などまずは地元を大切にした上で、輸出ができている」とみる。

 その上で中島専務は「TPPなど外からの動きに対しては、逆に地域を大事にすることが対抗になる。目先ではなく本質的な食と文化を大切にすることが、結果として経済活動につながっていく」と言い切った。(おわり。眞尾敦、大谷健人)

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