HOME 特集 【TPP~戦えるのか十勝】(4)6次化・ブランド化
   | メール配信登録  twitter facebook |

特集

【TPP~戦えるのか十勝】(4)6次化・ブランド化

  • 2015年11月7日 13時16分

JAネットワーク十勝は首都圏の物産展などで「Made in 十勝」ブランドを積極的にPRしている(10月31日、都内の銀座三越で)

安全・安心追求が大前提
 環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意を受け、政府は対策の基本方針の柱に、国産の強みを生かした差別化や、農家が加工・販売まで手掛ける6次産業化などによる農林水産物の高付加価値化を挙げる。早くから6次化に取り組んできた十勝しんむら牧場(上士幌町)の新村浩隆社長(44)は「やみくもに6次化を始めても成功しない」と指摘。「第1次産業に当たる1の部分が1以上の価値を持つこと、つまりおいしくて安全であることが大前提だ」と強調する。

 同社は1994年に放牧酪農を始め、自然と共存した持続可能な循環型の農業の実践に向け、健康な牛を育てる上で欠かせない土づくりから取り組んだ。6次化に乗り出したのは6年後の2000年。牛乳と砂糖を煮込んだだけのシンプルな製法の「ミルクジャムバニラ」(当時の価格で600円)は国内初の牛乳加工食品として注目を集め、1カ月で100万円の売り上げを残した。

初の牛乳加工品
◇まず理念確立

 今ではジャムだけでも10種類以上にバリエーションを増やし、全国各地に販路を広げている。新村社長は「牛乳の味に自信があったからこそできた商品」と、素材のこだわりを追求した先に成功があったことを強調する。

 今後、国が6次化を後押しする政策を打ち出してくることも予想されるが、新村社長は「6次化をやりたい人はやればいいが、それで経営がうまくいくとは限らない」と話す。「自分がどういう経営をしたいのかという理念を持つべきで、言われたから取り組み、失敗したら国や農協のせいにするという風潮にならなければいいが」と心配する。

 高付加価値化の成功例がある一方で、管内の農協関係者は「力のある人はいろいろ取り組んでいるが、多くは経営的に追われ、とにかく量を出荷することで目いっぱい」と、農家の現状を代弁する。農協単位で見ても、ブランド化で付加価値を高めやすい作物がある農協と、単価の差がない一元出荷で差別化が図りにくい生乳などがメーンの農協とでは、高付加価値化への取り組みに温度差がある。

選ばれる産地へ
◇全JAが連携

 こうした中、管内24JAでつくる「JAネットワーク十勝」(本部長・有塚利宣十勝地区農協組合長会会長)は一昨年から、「十勝ブランド」の確立に乗り出している。

 ネットワーク傘下でブランド化を推進する「十勝ブランド戦略推進協議会」の姉崎慎二会長(JA大樹町参事)は「良い物を作っていても、外に向かって売っていく力、PRする力に、個々の農協間では差がありすぎる。横のつながりを持って、まずは首都圏の消費者などに『十勝』を知らしめ、選ばれる産地にならなければ」と、取り組みの背景を語る。

 昨年11月に「Made in 十勝」のブランドを打ち出しロゴマークを発表。そのロゴは、十勝型GAP(農業生産工程管理)などに裏打ちされた「安全・安心」な農作物であり、その加工品であることの証しとして使用していく。

 姉崎会長は「TPPで海外と物の出入りが多くなったとき、われわれとしては今までやってきた『安全・安心』というところで生き残りたいし、むしろTPPを味方にして『安全・安心』をどう生かすかを考えていかなければならない」と話す。その上で、「十勝ブランドを外に打ち出していくと同時に、内部にも浸透させ、『Made in 十勝』を作っているプライドを持ってもらうようにしなければ」と気を引き締めた。(丹羽恭太、小縣大輝)

観光特集(勝毎電子版)
十勝川白鳥大橋ライブカメラ
6~12時 12~18時
22日の十勝の天気
最高気温
13℃
最低気温
10℃
朝日デジタル

今、なぜ「かちまい」…
ご購読のお申し込み