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【TPP~戦えるのか十勝】(2)大規模化・効率化…酪農畜産

  • 2015年11月5日 14時30分

貴重な労働の担い手となっている外国人実習生。大規模農家にとっては受け入れ規制が効率化の足かせになっている(上士幌・ドリームヒル)

人手不足、支援策も必要
 環太平洋連携協定(TPP)交渉の酪農分野の最終段階で、強く市場開放を要求し大きな存在感を示したのがニュージーランド(NZ)だ。NZの1戸当たりの平均飼養頭数(乳牛)は400頭ほどで、対する日本は約80頭、酪農王国・十勝でさえも150頭(十勝畜産統計)という。十勝の酪農家は、広大な面積で通年放牧など低コストの生産体系が確立するNZをはじめ、オーストラリアやアメリカなどと勝負を強いられることになる。

 対抗策の一つが規模拡大による効率化だ。ただ、「TPPでますます離農が増える中、規模拡大で吸収していくスタイルを続けることはもはや難しい」と話す関係者は少なくない。

 一方で、対抗策としての規模拡大を肯定的にとらえる農家もいる。

 道内一の生乳出荷量を誇るドリームヒル(上士幌)の小椋幸男社長(64)は「TPPによるグローバル化の流れは止められない」とした上で、「われわれ(大規模農家)が、引き続き国内生乳生産量を効率的に上げていかないと、安全で良質な乳製品を安定して消費者に届けることはできない」と言い切る。

最新設備を導入
◇個体改良にも

 同社の飼養頭数は現在約2500頭。2003年に小椋社長ら4農家で設立し、最新設備を9億円ほどかけて整備、作業を効率化して規模拡大を進めてきた。当初の年間出荷乳量は約2500トンだったが、5年後には1万トンを突破、今年度は2万トンの達成を見込んでいる。小椋社長は「今後も効率的に規模拡大を進めていく」と力を込める。

 家族経営で生乳生産を伸ばしてきた農家もある。とかち帯広空港近くにある帯広市泉町の「YKT杉浦牧場」。従業員を1人雇っているものの、あくまで経営の主体は杉浦尚=たかし=さん(51)の家族。飼養頭数は160頭と十勝の平均程度だが、1頭当たりの年間平均乳量は管内平均の約8700キロに対し、杉浦さんは1万1000キロを超えている。

 杉浦さんは「長年乳牛の個体改良に取り組んできた」と力説する。餌や管理面にも気を配り、日本記録の乳量を持つ「スーパーカウ」(年間乳量2万キロ以上)を何頭も輩出してきた。「酪農を営む自分にとって生乳の質を高め出荷乳量を伸ばす最良の方策だった」と杉浦さん。一方で、「個体改良にも限界がある。TPPによってどうなるか、不安もある」とも吐露する。

 近年、酪農を含む農業全体の深刻な問題が、労働者不足だ。現在は新卒者を中心に売り手市場だが、農業に関しては「求人を出しても(働き手が)来ない」と頭を抱える経営者は多い。

実習制度を活用
◇期待の外国人

 スタッフ49人を抱えるドリームヒルでも、「今年度は給与引き上げなど待遇面を改善し、新卒者を9人採用した。それでもぎりぎりの数」(小椋社長)とする。

 そんな中、農業労働力として期待されているのが「外国人技能実習制度」による外国人労働者の存在。習得技術を母国で役立てる趣旨で、日本の企業などで年数限定で受け入れるもので、管内でも中国やベトナムの若者を雇用するケースが増えている。道の調査結果によると、2014年度は十勝全体で前年度比66・2%増の271人を受け入れた。その多くが農業関連だったという。

 ただ、現法律では受け入れ人数が規制されており、同社では7人しか使えていない。小椋社長は「酪農は人の手が命。外国に太刀打ちしていくために必要な規模を維持するには自助努力が前提だが、現状に見合った制度改正や支援策を国は取っていくべき」と提言している。(佐藤いづみ、小縣大輝)

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