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【TPP十勝への影響は?】~酪農編~「競争力低下で生産力減退か」

  • 2015年10月22日 13時16分

■ホエー
廃棄発生の可能性

 「断固反対だった時と大きく違うのは、関税ゼロ(撤廃)でないこと。ホエー(の自由化)は(交渉の)テーブルには乗らないことになった」

 昨年末の衆院選時、中川郁子衆院議員はこう述べていた。だが、実際の環太平洋連携協定(TPP)大筋合意の内容では、ホエーの関税はセーフガード(緊急輸入制限)はあるものの撤廃となる。

 ホエーはチーズ製造時に出る副産物で、脱脂粉乳の代わりや菓子など加工食品の原料として使われる。

 十勝の生乳はチーズ製造に向けられる量が多く、明治(芽室、帯広)、雪印メグミルク(大樹)、よつ葉乳業(音更)など大手工場で大量のホエーが出る。輸入で安く入れば国内のホエーは廃棄せざるを得ず、処理費用がチーズ価格に上乗せされ、競争力が低下する可能性がある。

 合意内容では脱脂粉乳と競合する可能性が高いタンパク質含量25~45%については21年目、25%未満は16年目までと農水省は「長期の撤廃期間を確保した」とする。

 しかし、最終的に脱脂粉乳の代替として輸入ホエーが使われるようになれば、乳価の低下など生産現場に影響を及ぼし、十勝、北海道は対応を迫られる。

■チーズ
「抱き合わせ」維持

 十勝でも生産が多いチェダー、ゴーダチーズは現行29・8%の関税を16年目に撤廃する。人気の欧州産はTPPでは含まれないが、ワインなどと相性が良く、消費が増えているこれらのチーズの国内での増産に冷や水となりそうだ。

 ただ、スライスチーズなどプロセスチーズ原料となるチェダー、ゴーダは、輸入に一定の国産を混ぜる「抱き合わせ制度」を維持し、農水省は「急激な需要減少を回避した」と説明する。十勝でもプロセスチーズ原料は多く作られており、実際の影響がどうなるか注目される。

 粉チーズも16年目に関税を撤廃。輸入が多くを占めるものの国産粉チーズ原料は道内でも製造されているため影響が出る可能性もある。十勝でも大手メーカーが生産するカマンベール、さけるチーズなどのモッツァレラの他、プロセスチーズは関税が維持される。

■バター・脱脂粉乳
不足解消も

 バターや脱脂粉乳は関税削減や撤廃は行わず、国が輸出入を管理する国家貿易を維持。新たに生乳換算で輸入枠13.7万トンを設ける。全量バターに換算すると5600トンほどで、今年のバター不足で緊急輸入している1万トンを下回り、影響は少ないとの見方もある。

 新輸入枠はバター不足の解消につながる一方で、枠内とはいえ安いバター、脱脂粉乳の流入で、生産者が受け取る乳価の低下が起きる可能性もある。現状では道外の酪農家の高齢化などで国内の生乳生産量は減少傾向にあるが、将来的に輸入が増えたことで国内の生乳が余る可能性もゼロではない。

■その他
PEF撤廃へ

 ニュージーランドが輸入拡大を求めていたバターに食用脂を混ぜたPEF(ペフ)は、低関税で輸入する関税割当の枠は変更せず、枠内の税率を11年目までに80%削減、21年目までに撤廃する。この他細かな品目にわたって関税割当や税率の変更があり、影響は未知数だ。
(眞尾敦)

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