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【TPP十勝の試練】(4)「農機、輸送 先細り懸念 基幹産業の危機…余波」

  • 2015年10月8日 14時33分

農家戸数減を懸念しつつも、機械の大型化、効率化に対応して今年増設した東洋農機の工場(塩原真撮影)

 「十勝で農業の盛衰の影響を受けない人はいない」-。農業を基幹産業とする十勝では、環太平洋連携協定(TPP)が農業に与える影響が幅広い分野に波及する。関係者はTPP後の十勝農業の行方を固唾をのんで見守る。

 ジャガイモやビートの収穫機などを製造する東洋農機(帯広市)の太田耕二社長は「心配はしている。ただ、小麦農家への補助金がどうなるか分からず、予測できない」とみる。

 同社は今年、農機の大型化に対応して工場を増設したばかり。今のところ農家の設備投資意欲は衰えていないというが、「TPP後に向け農家の集団化や効率化、作物の多様化などに対応していかなければ」と身構える。「大型化や効率化が進んでも、農家戸数があまり減ってしまうとお客がいなくなってしまう。ただ、TPPがなくても農家戸数が減少するのは分かっていたことで、海外を含め市場開拓も進めていきたい」とする。

 輸送業界も影響を懸念する。十勝のトラック輸送は、直接的に農作物を運搬する以外に、肥料や飼料などの生産資材、農業基盤整備事業に伴う土砂など農業に関連する業務が大きなウエートを占める。十勝地区トラック協会の奥野一男専務は「(政府は)高くても売れる作物を象徴的に取り上げて『強い農業を』と言うが、そういう物が輸送量に占める割合はごく一部にすぎない」と指摘。「農業対策に予算は付いても、運輸に予算が付くことは考えられない。長いスパンでは淘汰(とうた)される業者が出る可能性もある」とみる。

 関連産業の多い十勝では雇用状況の悪化も懸念される。帯広公共職業安定所は「農業・関連産業だけではなく小売業などへの波及の可能性はある」との見方を示す。その上で、「将来への漠然とした不安からくる採用マインドの冷え込みに注視したい。人手不足による採用よりも事業拡大を見据えた採用への影響が大きい。政府の農業支援策がどれほど手厚いものかによってマインドも変わってくる」としている。

 食や観光などの関係者からは、不安の一方で前向きな声も。帯広観光コンベンション協会の鈴木新一専務は「十勝の最大の観光資源は、地元の農産物を基にした『食』。TPPを機に、農家や食品メーカーにはこれまで以上に高付加価値の作物、商品を作ってもらいたい。そうなれば観光誘致もしやすくなり、観光を通じて十勝の食のPRもできる」と話す。

 十勝産100%のパンを製造・販売する満寿屋商店の杉山雅則社長も、「(TPPは)歓迎ではない。補助金を含め農家の収入がどうなるか見えない」と先行きを心配する一方で、外国産小麦が安くなることについては「かえって安全・安心など食の問題で国産が見直されるかもしれない」とみる。「今後は十勝の消費者が何を消費したいのか、十勝をどうしたいのかが問われていく」と言葉に力を込めた。(おわり、丹羽恭太、眞尾敦、大谷健人)

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