HOME 特集 【TPP十勝の試練】(1)「収入対策が不可欠 作付け3割超」
   | メール配信登録  twitter facebook |

特集

【TPP十勝の試練】(1)「収入対策が不可欠 作付け3割超」

  • 2015年10月5日 13時31分

TPP大筋合意の見通しに不安を感じながら秋まき小麦畑を見詰める津島さん(5日午前、音更町東和で。塩原真撮影)

 「(大筋合意は)信じられない気持ち。大筋合意の方向に政府関係者が安堵(あんど)したと伝えられているが、そんなことでいいのか。メリットもデメリットも何も示されていない」

 音更町の畑作農家(指導農業士)・津島朗さん(54)は、政府の対応に憤る。

 大筋合意に達する見通しとなった環太平洋連携協定(TPP)交渉は、参加各国が交渉内容について守秘義務がある「秘密交渉」。津島さんは「経済でもそんなにメリットがあるのか。今後も国民に安全・安心な食料が供給され続けるのか」と政府に説明を求める。

 十勝の畑作では小麦の実質的な関税(マークアップ)の45%削減が伝えられるが、公式に発表されていない。交渉会場のアトランタ入りしていたJA道中央会の飛田稔章会長(JA幕別町組合長)は、現地で政府から何の説明もないことに対し「そこまで農業が軽視されているのか。情けない」と嘆いた。

 小麦は十勝の作付指標面積の中でも3割以上を占め、最も作付けが多い。マークアップは現在1キロ当たり17円で1トン当たりでは1万7000円。今年4月の輸入小麦の政府売渡価格6万70円のうち28%を占める。

 一方、十勝の主力品種の小麦価格は5万円弱。最近は円安などで輸入小麦の価格が上がり、国産は値下がりしたこともあって競争力を高めつつあったが、マークアップが削減されれば輸入価格は大幅に下がる。

 また、現在の生産者の小麦の手取り収入のうち6割程度を補助金が占め、マークアップ削減で税収が減れば、補助が削減される心配もある。

 帯広市以平町の畑作農家道下公浩さん(51)は「日本人が自分たちが食べるものをどうしたいかだ。いらないと言われれば(補助金もなくなって)私たちは作れなくなるし、大切だと思ってくれれば作り続けることができる」と話す。

 道下さんは12%程度しかない小麦の自給率向上などのため、パン用小麦の生産に取り組み、自ら大手製パン会社のテレビCMにも出演、地元の子供たちの食育にも力を入れる。今後は小麦を作り続けてほしいと思ってもらえるよう「農業の現状を知ってもらうことが大事だ」と強調する。

 十勝農協連の山本勝博会長は「大筋合意したからといって、はいそうですかと受け入れられない。今後は十勝農業をどう守ってもらえるのか、必要性を訴えつつ、どんな対策が必要かを議論しなければ」と話す。ただ、「TPPの中身は全く分からない。対策を求めようにも議論すらできない」と、交渉内容の早期開示を求めた。(眞尾敦)



 TPP交渉が、アトランタで開かれている閣僚会合で大筋合意する見通しとなった。日本側は農業分野で譲歩した部分も多いとされ、十勝農業にかつてない波紋が広がっている。医療や消費を含め、十勝への影響を探った。

観光特集(勝毎電子版)
十勝川白鳥大橋ライブカメラ
6~12時 12~18時
26日の十勝の天気
最高気温
15℃
最低気温
4℃
朝日デジタル

今、なぜ「かちまい」…
ご購読のお申し込み