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【TPP交渉の波紋】(下)鈴木・東大教授に聞く 交渉内容の撤回を

  • 2015年8月4日 13時10分

「TPP閣僚会議の交渉結果撤回を」と訴える鈴木氏(塩原真撮影)

米国は2国間合意履行迫る
 米ハワイ州マウイ島で現地時間7月28~31日に開かれた環太平洋連携協定(TPP)の閣僚会合では、日米間での小麦のマークアップ(実質的な関税)削減や牛・豚肉などで日本側の譲歩が伝えられた。交渉はニュージーランド(NZ)が乳製品の輸入拡大を日本などに求めたこともあり大筋合意は見送られた。この結果について、東京大学大学院農学国際専攻の鈴木宣弘教授(農学博士)は「TPPが決裂したとしても、アメリカは日米間で合意した関税削減を迫るだろう」とし、「十勝農業は危機的状況に直面したままだ」と現状を分析している。

「聖域」ない NZは当然
 鈴木教授は今回の合意見送りについて、「そもそも関税撤廃、規制緩和を前提とするTPPという貿易交渉に『聖域』を持ち込もうとすることに無理があった」とし、当然の結果だとみている。合意見送りの要因となったのは「新薬の保護期間」と「乳製品」。米国が訴えたのは国内製薬企業を守るための「規制強化」であり、「NZの主張はTPPの本質からして当然のことで、どちらがおかしいかは明確だ」と語る。

 合意見送りにより十勝からは「農業がいったんは守られた」と安堵(あんど)の声も聞かれるが、それに対して鈴木教授は「さらに危機的状況になった」と警鐘を鳴らす。仮に今後、TPP交渉が決裂したとしても「米国は『日米2国間で合意した約束を履行せよ』と迫るだろう」とみる。

決議は反故 多大な損失
 米国との2国間交渉では小麦のマークアップ削減に加え、牛・豚肉などの関税引き下げで合意したとされる。鈴木教授は「数パーセントの関税を維持しただけで『聖域を守った』とは情けない。(重要5項目を守るとした)日本側の国会決議は完全にほごにされたといっていい」とし、5項目以外にも鶏肉やサケ、クロマグロなどの関税撤廃など「計り知れないほどの損失がある」と強調する。

 また、今回の交渉結果について国内で議論する間もないまま、甘利明TPP担当大臣が月内の交渉再開に意欲を示していることについては「大臣はNZを念頭に『頭を冷やすべき』と責任転嫁し、TPPそのものに問題があるから合意できなかったとは考えていない。頭を冷やすべきは日本と甘利大臣だ」と、合意ありきの姿勢を強く批判する。

合意ありき さらに声を
 その上で、鈴木教授は「2国間交渉も含め、今回の交渉結果について撤回すべき」と主張する。また、国会決議の順守を求めてきた北海道の行政機関や農業団体にも「もはや『国会決議の順守を』と言っている場合ではなくなった」とし、さらに声を上げていく必要性を訴えている。(大谷健人)

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