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【どうなるTPP交渉大詰め~十勝の牛肉の行方は】(下)消費と流通

  • 2015年7月28日 13時11分

円安もあって現在、単価の差が縮まっている米国産と国産牛肉。TPPによって価格がどう変化するか、販売側も注視している(ダイイチ白樺店)

 「米国産牛肉が値下がりすれば、消費者を店頭に呼び込める期待感はある。ただ、地元の生産者とも顔の見える付き合いがあり、両手を挙げて歓迎とはいかない」

 食肉販売の「かんの精肉店」(帯広)の菅野義博専務(48)は、「決着へ大詰め」と報道されるTPP(環太平洋連携協定)交渉の行方に複雑な心境をのぞかせる。「生産者が打撃を受ければ景気が落ち込み、一般の消費者の給料も下がって、牛肉に手を伸ばさなくなるから…」

 TPP交渉では、現在38.5%ある牛肉の関税を10年以上かけて9%に引き下げる-と報道されている。関税が下がると、小売価格の低下も予想され、業界関係者は「国産も含め、輸入品に引っ張られる形で牛肉全体の価格が下落するだろう」と懸念する。

 ただ、大手スーパー「ダイイチ」(帯広)の滝田将司畜産課畜産係長は「関税の引き下げは徐々に行われ、価格にすぐに反映されるとは考えにくい。今は正直、円安などの影響で米国産牛肉が上がり続けている方が心配」と話す。

 米国産と国産との価格差は縮まりつつある。ダイイチでも価格変動はあるが、バラ肉の100グラム単価は、国産のF1(交雑種)550円程度に対し、米国産は360円とここ2年で2割ほどアップしたという。

 日豪EPA(経済連携協定)の影響もあり、同300円以下の豪州産は取扱量が増えるが、「販売の主流はまだ米国産」と滝田係長。現在も価格は上がり続け、外国産牛肉全体の売上高も前年比で1割減っており、「外国産は価格の安さが魅力。差がなければ消費者は国産を選ぶ。今後もそれは変わらない」とみる。

 日本食肉消費総合センター(東京)による全国の消費者意識調査(13年度)でも、米国産牛肉について、「安ければ購入する」49.7%に対し、「割高でも購入する」はわずか0.2%。理由として「外国産」自体への不信感や、検査・安全基準が信用できないといった意見が多かった。

 直営で給食を提供する帯広ひまわり幼稚園(佐藤みゆき園長、園児219人)では、主要な食材は十勝産が基本で、なければ道産、国産を仕入れ条件とする。牛肉も同じだ。3人の子を育てた母でもある佐藤園長(58)は「米国産は安全性を疑問視する声もある。タンパク質は大豆などでも摂ることができる。次世代を担う子供たちが口にするものなので、国産が値上がりし、採算が合わなくなっても使わない」と言い切る。

 一方で、安くなった輸入牛は、原材料の産地が見えにくい外食産業や食品加工メーカーなどを通じ、流通量が増加することも予想され、消費者動向の二極化を危ぐ声もある。

 帯広消費者協会の小笹勅雄専務(61)は「電気料金や石油価格の上昇、消費増税など家計への圧迫は深刻。安い方に流される消費者も増えるのでは。食品が健康に与える影響という視点に立ち、選択する目を持たなければならない」と訴える。(佐藤いづみ、大谷健人)

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