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【TPP十勝の新戦略~貿易自由化の流れの中で】(3)農商工連携と雇用

  • 2014年7月25日 13時37分

森田代表と従業員の菊地さん、前田眞弘さん、杉浦真さん(左から)のミーティング。新事業への挑戦が地域の経済と雇用を支えている(更別村で、塩原真撮影)

販路拡大 地域にも貢献
 更別村更別南で農業を営む株式会社泰章農場。同社の森田泰光代表(46)と従業員3人が、談笑しながら農作業の仕方について話し合う。あすの経営にもつながる日常の光景だ。

 「食べ物を作る職場は胸を張ることができる。安定した生活もできるので、家族持ちにとっては良い就職先だ。この職場に巡り合えてよかった」。従業員の1人、菊地雅博さん(25)=帯広市出身、更別村在住=は農業のやりがいを実感する。

◇冬も肥料製造
 森田さんが家業を継いだ1987年は、45ヘクタールの畑作専業の家族経営だった。法人化した2007年から正社員を雇用し、現在は従業員3人の体制に。85ヘクタールの畑作と黒毛和牛の繁殖雌牛45頭で、もと牛を生産する。畑作と畜産の複合経営に加えて、村内の学校給食に提供するため小麦の自家製粉も行う。さらに、従業員を冬も雇用できるようにと、自社施設でオホーツク産ヒトデを原料にした有機肥料製造にも携わるなど、多角的な経営を展開している。

 有機肥料の販売は、自社独自のルートもあるが、流通業者など販売を得意とする業種とも連携。道外の農家にも販路を拡大し、農商が連携して仕事の幅を広げている。同農場を中心に管内の農家約20戸で昨年、農産物の販売組織「十勝広域生産組合」も立ち上げた。

◇初任給25万円
 菊地さんは妻、子供2人との4人家族。菊地さん以外にも家族4人の従業員がおり、村の人口8人分を創出した職場だ。農業の仕事は季節雇用や、賃金も少ないというのが一般的な課題だが、同農場は家族がいる従業員の初任給が手取りで月25万円と、管内企業の平均よりも高く、通年雇用も達成している。

 森田さんは「農業は一族(家族)で経営するものという考えはない。志がある人がやる。会社は社員のもの。会社のための農業経営をして、みんなでもうけようというやり方で、『自分たちの農業』という気持ちにつながっている」と強調。この考えは、もともとの農家でなくても農業への関心を高められる職場づくりに直結している。

 今春オープンした帯広電信通り商店街のそば店「開拓舎」。管内の農業、建設業、サービス業の経営者3人が設立し、新たに4人を雇用した。同店の設立者の一人で、道中小企業家同友会とかち支部十勝農商工連携部会の大石富一部会長(55)=大樹町、大石農産代表=は「企業同士が農商工連携の役割を果たして、北海道内で最終商品にすることで雇用を生む。良い原料を使って、消費者の健康を支える商品を提供していければ」と話す。

 十勝をはじめ1次産業が盛んな地域では、農林水産業を核とした加工、販売が地域経済を支える。管内では大企業による製糖や乳製品工場以外でも、農家が主体となって農商工連携や6次産業化に動きだしている。

◇付加価値カギ
 農商工連携に詳しい東京農業大国際バイオビジネス学科の門間敏幸教授は「北海道の場合、大規模な経営で原料供給をするのも重要な役割だが、その中の一部でも付加価値を高めることが必要。大規模経営で加工・販売に手が回らないのなら、商工と連携したり、家族や人を雇ったりして、うまく労働力を活用するのが良い。地域が生き残るためには付加価値が高く、雇用確保ができる産業をつくり上げることが大切だ」と助言する。(関坂典生)

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