HOME 特集 【十勝産の価値~TPP重要5項目を考える】(6)小豆
   | メール配信登録  twitter facebook |

特集

【十勝産の価値~TPP重要5項目を考える】(6)小豆

  • 2013年12月11日 13時00分

昨年の音更産小豆(右)と、この小豆を使って作った生菓子を手にする「甘春堂」の木ノ下専務

京菓子に不可欠…文化とも密接
 「京菓子メーカーでは、商品のおよそ7割に原材料として小豆を使う中、十勝産小豆の代替品はない。TPP(環太平洋連携協定)の影響を受けるとしても、産地として作り続けるという覚悟を持っていただかないといけない」

 京菓子を作る老舗菓子店などが多く加盟している京都府菓子工業組合。京都市右京区にある同組合の事務所で、北岡惠夫代表理事は力を込めてこう訴えた。
 農水省や道の試算によると、TPPで小豆の関税が撤廃された場合、国産小豆は7~8割の生産減に追い込まれる見通しだ。十勝では輪作体系にも組み込まれている作物だけに影響は計り知れず、農家の不安は強い。一方、京都の伝統的な老舗にとっても、十勝産小豆の生産量減は二度と体験したくない出来事だ。

 2003年秋、京都中の老舗和菓子店が騒がしくなった。道内でも主要産地の十勝で同年産が例年にない不作に陥った。販売開始後も予測より3~4割少ない出回り数量のため確保が難しく、価格はメーカーや菓子店の仕入れ段階で5割も高騰した。

十勝産小豆を使って作られるこしあんの製造現場(「鼓月」の本社工場で)

中国産使わずに
 安い中国産への切り替えもささやかれたが、京都の商慣習では、一度でも品質を落とすと顧客が一気に離れて戻らないと考えるのが常識。自らも菓子メーカーを経営する北岡代表理事は「道内・国内の他の産地から確保するなどしてなんとか中国産に手を付けずに済んだ」と振り返る。

 京菓子メーカー「鼓月」(本社・京都市伏見区)の本社工場にある小豆あんの製造現場。低温管理の倉庫に十勝産小豆の袋が並ぶ。同社で原材料仕入れを担当する福島延吉課長も「小豆は和菓子に大事な部分。価格が安いからと外国産を使うことはない。2倍や3倍などと極端に高騰しない限り、産地支援の意味からも十勝産を使う」とする。

 同社では丹波産と十勝産を使い分けている。年間に使う小豆数十トンのうち、およそ半分が十勝産。03年の十勝産高騰時は確保に苦労したが、ここでも道内の他の産地から仕入れたり、菓子職人の技術で補ったりし、「品質が落ちて顧客を裏切らないよう海外産は使わなかった」(福島課長)。

 京都市中心部を流れる鴨川沿いにあり、創業から約150年の京菓子店「甘春堂」は年間4~5トンの小豆あんを作る。このうち十勝産(音更産など)は、年間約1トンをこしあんにして水ようかんなどに使う。

良好な口当たり
 木ノ下稔専務は「道産・十勝産の小豆は口当たりが良く、水ようかんなどに最適。逆に他の小豆では、口当たり良く作れない。北海道・十勝の小豆でないとできない商品がある限りは使い続ける」と強調する。

 同組合の北岡代表理事は取材の最後にこう話した。「十勝が高品質の小豆を適正価格で安定供給しないと、京菓子のブランドも守れない。できることがあれば、京都もできる限り産地に協力したい」

 品質が京都の老舗に高く評価される十勝の小豆。TPP交渉の行方は、単に小豆の生産体制だけでなく、京菓子という伝統文化の存立にも関わる問題となっている。
(おわり、井上朋一)

観光特集(勝毎電子版)
十勝川白鳥大橋ライブカメラ
6~12時 12~18時
24日の十勝の天気
最高気温
24℃
最低気温
14℃
朝日デジタル

今、なぜ「かちまい」…
ご購読のお申し込み